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プロセスマイニングとは?メリット、事例とやり方

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編集者: Edraw

業務プロセスの改善や効率化を目指す中で注目を集めているのが「プロセスマイニング」です。 従来の業務分析と異なり、実際の業務データをもとに現状を可視化できるため、課題発見や改善施策の立案に大きく役立ちます。

本記事では、プロセスマイニングの基本から仕組み、活用事例、導入方法、さらにおすすめツールまでを、初心者にもわかりやすく解説します。

1.プロセスマイニングとは

プロセスマイニングとは、業務システムなどに蓄積されたログデータをもとに、業務プロセスの実態を可視化・分析する手法です。従来の業務改善手法は、関係者からのヒアリングや現場観察が中心でしたが、プロセスマイニングでは実際のデータに基づいて客観的な分析が可能になります。

この技術は、現場で「想定されている業務フロー」と「実際に行われている業務フロー」のギャップを明らかにし、ボトルネックの発見や無駄な工程の削減に役立ちます。また、業務プロセスの最適化、コンプライアンス遵守状況のチェック、DX推進の基盤づくりにも活用されています。データに裏打ちされた改善施策を講じたい企業にとって、プロセスマイニングは非常に有効なアプローチです。

2.プロセスマイニングの仕組み

プロセスマイニングは、業務システムやアプリケーションに記録されたイベントログを活用し、業務の流れを可視化・分析する仕組みです。主なプロセスは以下のとおりです。

2.1 イベントログの収集

各業務システム(例:ERP、CRM)から、作業履歴や処理結果のログデータを抽出します。このデータには、作業ID、担当者、処理日時、作業内容などが含まれます。

2.2 プロセスモデル作成

収集したイベントログをもとに、実際の業務フローを再現したプロセスモデルを作成します。これにより、理想的なフローと実態の違いを明確に把握できます。

2.3 分析と可視化

作成したプロセスモデルをもとに、ボトルネック、手戻り、異常なプロセス分岐などを特定します。これにより、業務改善ポイントを客観的に発見できるのです。

この流れをフロー図にまとめると、次のようになります。

プロセスマイニング

このプロセスにより、企業は現場のリアルな課題に即した改善をスピーディに実施できるようになります。

3.プロセスマイニングの長所と短所

プロセスマイニングは、多くのメリットを持つ一方で、いくつかの注意点もあります。ここでは、長所と短所を整理して解説します。

長所

  • 客観的な分析が可能
    業務担当者の感覚に頼るのではなく、実データに基づいた業務フローを可視化できるため、客観的な判断ができます。
  • 改善ポイントを迅速に特定
    ボトルネックや無駄な作業、逸脱プロセスを短時間で発見でき、業務改善サイクルを加速させます。
  • DX推進の基盤になる
    業務プロセスの可視化は、デジタル化や自動化を進めるうえで欠かせない第一歩となります。

短所

  • 十分なログデータが必要
    データ量が不十分だったり、記録項目が不完全だったりすると、正確な分析結果が得られません。
  • データ整備に工数がかかる
    異なるシステム間でデータ形式がバラバラな場合、前処理やクレンジング作業に手間がかかることがあります。
  • 誤解のリスク
    プロセスマイニングは「なぜ」そのプロセスが発生しているかまでは直接説明できないため、単なる結果に引きずられて誤った判断をしないよう注意が必要です。

プロセスマイニングを成功させるためには、これらの長所を活かしつつ、短所への対策も講じることが重要です。

4.プロセスマイニングのやり方

プロセスマイニングを効果的に実施するには、次の手順に沿って進めるのが基本です。

ステップ1:対象業務と目的を明確にする

どの業務プロセスを分析するのか、また何を目的に分析を行うのかを明確にします。例としては「受発注プロセスの効率化」や「製造現場の業務効率化」などが挙げられます。

ステップ2:イベントログを収集する

対象業務に関連するシステム(ERP、CRM、ワークフローシステムなど)から、作業履歴データを収集します。この際、作業ID、担当者、タイムスタンプ、アクティビティ情報が揃っていることが理想です。

イベントログ

ステップ3:プロセスマイニングでの分析・可視化

収集したデータを分析して、プロセスモデルを作成します。プロセスの流れや異常パターン、ボトルネックなどを可視化し、課題を特定します。

分析可視化

ステップ4:改善施策を立案・実行

分析結果をもとに、自動化などの業務改善案を検討し、必要な変更を加えていきます。プロセスマイニングは一度きりでなく、継続的に運用・改善を続けることが重要です。

改善案

この流れを押さえることで、プロセスマイニングの効果を最大限に引き出すことができます。

5.プロセスマイニングの活用事例

プロセスマイニングは、さまざまな業種・業務で活用が進んでいます。ここでは代表的な活用事例を3つ紹介します。

5.1 製造業における生産ラインの最適化

製造現場では、設備の稼働ログや作業者の記録データを活用し、生産ラインのボトルネックを可視化します。これにより、生産効率の向上や不良品率の低減を実現しています。また、改善施策の効果をリアルタイムで検証できるため、継続的な業務改善にもつながります。特に、自動化ラインの最適化や設備保全計画の立案にもプロセスマイニングが役立っています。

製造業

5.2 金融業における与信審査プロセスの改善

金融機関では、与信審査にかかる処理時間や手戻りの発生箇所を特定するためにプロセスマイニングを導入しています。申請から承認までのリードタイム短縮に加え、審査ルールのばらつきやヒューマンエラーの分析にも活用され、審査品質の向上とリスク管理の強化を実現しています。これにより、顧客満足度の向上にも貢献しています。

金融業

5.3 サービス業におけるカスタマーサポート業務の効率化

コールセンター業務では、問い合わせ受付から解決までのフローを分析し、応対のばらつきや二重対応の原因を特定します。これにより、FAQの整備やオペレーター教育プログラムの改善にもつながり、応対品質の標準化と顧客満足度の向上を達成しています。さらに、対応履歴の分析から新たな商品・サービス改善のヒントを得る企業も増えています。

サービス業

このように、プロセスマイニングは業種を問わず、現状分析と改善活動の強力な武器となっています。自社の業務課題に応じた導入を検討する価値は十分にあります。

6.プロセスマイニングツール3選

プロセスマイニングを効果的に進めるためには、適切なツールの活用が不可欠です。ここでは代表的なプロセスマイニングツールを3つ紹介します。

6.1 Celonis(セロニス)

世界トップシェアを誇るプロセスマイニングツールです。多様な業務システムとの連携性に優れ、リアルタイムで業務プロセスの分析と改善提案が可能です。AIを活用したアクションエンジンにより、自動化や最適化までをサポートする点が特長です。

Celonis

(引用元:Celonis株式会社

6.2 UiPath Process Mining

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で知られるUiPathが提供するツールです。RPAと連携させることで、プロセスの可視化だけでなく、自動化すべきポイントの特定から実装まで一気通貫で行える点が強みです。非エンジニアでも扱いやすいインターフェースも魅力です。

UiPath

(引用元:UiPath株式会社

6.3 EdrawMax

一般的なプロセスマイニングツールは、イベントログを自動的に収集する機能を持っていますが、社内秘情報の観点から、他社製品を自社システムと直接連携させることに不安を感じるケースもあります。そうした場合、ログ情報を手動で収集し、オフラインの作図ソフトでプロセスマイニングを実施する方法も有効です。EdrawMaxは、豊富なテンプレートと直感的な操作性を備えており、オフライン環境でも安心して業務フローやプロセスマイニングの可視化を行うことができます。収集したログデータをもとに手動でフローチャートを作成すれば、セキュリティリスクを最小限に抑えつつ、効果的なプロセス分析が可能です。

EdrawMax

(引用元:EdrawSoft

このように、目的や環境に応じてツールを選択することで、プロセスマイニングの効果を最大限に引き出すことができます。

まとめ

プロセスマイニングは、業務データをもとに現状の業務プロセスを可視化・分析し、課題発見や改善活動を加速させる強力な手法です。従来のヒアリング中心のアプローチと比べ、客観的かつ迅速に現状把握ができる点が大きな魅力です。

ツール選びも重要で、目的や環境に応じて適切なものを選択することで、プロセスマイニングの効果を最大化できます。特に、セキュリティリスクを気にする場合には、オフライン作業が可能なEdrawMaxの活用も一つの有効な選択肢となるでしょう。

本記事を参考に、無料体験版のあるEdrawMaxを使用し、プロセスマイニングを業務改善やDX推進に役立ててみてください。

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