電気回路図 知識

論理回路(デジタル回路)の基本知識を分かりやすく解説【初心者向け】

論理回路(デジタル回路)は、私たちの身の回りにあるコンピュータや電子機器の核心技術です。論理回路がなければ、スマートフォンやパソコン、家電製品など、私たちの生活を便利にする多くのテクノロジーが存在しないでしょう。論理回路はデータを処理し、さまざまな機能を実現するための基本的な仕組みです。

たとえば、日常生活で当たり前のように使っているスマートフォンや家電製品から自動車やセキュリティシステムに至るまで、その内部には無数の論理回路が組み込まれています。

本記事では、論理回路の基本からAND、OR、NOTといった基本的な動作原理、そして実際の使用例までをわかりやすく解説します。さらに、初心者にも使いやすい回路図作成フリーソフト「EdrawMax」をご紹介。これを読めば、論理回路についての理解が深まり、実際の設計や応用に役立てる知識を得られます。

1.  論理回路(デジタル回路)とは?

「論理回路」は、聞き慣れない方もいるでしょう。電気制御の基本となる論理回路について、まだ勉強を始めたばかりの方にもわかりやすく解説します。

1.1 論理回路とは論理演算を行う電子回路である

論理回路とは、論理演算する電子回路です。デジタル回路とも呼ばれ、コンピュータや電子機器の基盤となる技術です。

論理積や論理和などの論理演算があり、これらは論理ゲートとも呼ばれます。論理回路を組み合わせることで、複雑なデータ処理や制御機能を実現できます。たとえば、加算や乗算などの算術演算回路や、情報を記録するメモリ回路です。コンピュータは多数の複雑な論理回路といえます。

1.2 基本要素は3種類ある

論理回路は、0と1の二進法を用いて、以下の3種類の基本的な論理演算を実行します。

  • AND(論理積)
  • OR(論理和)
  • NOT(論理否定)

これらは論理ゲートと呼ばれ、それぞれ異なる論理演算を実行し組み合わせることで複雑な論理回路を構築可能です。

AND回路は、入力がすべて1のときにのみ1を出力し、他の条件では0を出力します。OR回路は、いずれかの入力が1であれば1を出力し、すべての入力が0のときにのみ0を出力します。NOT回路は入力を反転し、入力が0のときに1を、入力が1のときに0を出力します。

これらの基本的な論理回路を用いることで、デジタル回路はさまざまな計算や制御を効率的に行うことが可能です。

1.3 MIL記号と真理値表で回路を理解する

論理回路を理解するためには、MIL記号と真理値表が非常に役立ちます。

MIL記号は、論理回路の各要素を視覚的に表現した記号です。MIL記号を用いることで、回路図を簡潔かつ明確に描けます。

真理値表は、各論理回路の入力と出力の関係を示す表です。特定の入力条件に対する出力結果を一目で理解できます。たとえばAND(論理積)の場合、全ての入力が1であるときにのみ出力が1となり、それ以外の場合は出力が0となることが真理値表によりわかりやすく明示されます。

MIL記号と真理値表を使用することで、論理回路の動作を直感的に理解することが可能です。

2.  AND回路

AND回路とは、どのような特徴があるでしょうか。ここでは、動作の説明や記号・真理値表を解説し、AND回路が使われる事例を取り上げます。

2.1 AND回路の動作

AND回路は論理回路の基本的な構成要素の一つで、複数の入力がすべて1のときにのみ1を出力する回路です。AND回路は「論理積」とも呼ばれます。

AND回路は2つの入力端子から、それぞれに0または1の値を入力します。出力は1つで、すべての入力が1である場合にのみ出力が1になります。どれか一つでも0が含まれている場合、出力は0になります。

ベン図で示すと以下のとおりです。

AND回路

AND回路の動作は、デジタル回路の設計や制御において複数の条件を満たす必要がある場合に有用です。

2.2 AND回路の記号と真理値表

AND回路の動作を理解するために、論理式からMIL記号と真理値表で確認してみます。

AND回路の論理式:Z=A・B

AND回路の論理式は、「・」(ドット)または「&」の記号で表されます。MIL記号は、半円形の記号を用いて描かれます。

AND回路 記号

図の左側に2つの入力ABがあり、右側に出力Zが配置されます。この記号を用いることで、回路図上でAND回路を簡潔に表現できます。

次に、真理値表について説明します。真理値表は、論理回路の入力と出力の関係を示す表です。AND回路の真理値表は、以下のとおりです。

入力A

入力B

出力Z

0

0

0

1

0

0

0

1

0

1

1

1

この表からわかるように、AND回路では、両方の入力が1のときにのみ出力が1となります。それ以外の場合、出力はすべて0です。

2.3 AND回路の使用例

AND回路は、デジタル回路の設計において非常に広く使用されています。ここでは、わかりやすいAND回路の使用例を紹介します。

セキュリティシステム

二重認証システムでは、ユーザーが正しいパスワードを入力し、さらに指紋認証を通過する必要があります。AND回路が利用され、パスワードと指紋認証の両方が正しい場合にのみシステムがアクセスを許可します。

自動車のエンジン制御

エンジンのスタートには、ギアがパーキングポジションにあり、さらにブレーキペダルが踏まれている必要があります。この2つの条件が同時に満たされたときにのみ、エンジンが始動するようにAND回路が使用されます。

家庭用電化製品

電子レンジのスタートボタンを押すだけでなく、ドアが正しく閉まっていることを確認するためにAND回路が使われます。これにより、安全性が確保され、ドアが開いているときには電子レンジが作動しません。

AND回路は多岐にわたる分野で活用されています。思っているよりも日常生活で使われているので、探してみるとAND回路をイメージしやすいです。

3.  OR回路

OR回路は、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、動作の説明や記号・真理値表を解説し、OR回路が使われる事例を紹介します。

3.1 OR回路の動作

OR回路は「論理和」とも呼ばれ、2つの入力のうち少なくとも1つが1であれば、出力が1になります。反対に、すべての入力が0である場合のみ出力が0になります。

ベン図で示すと、以下のとおりです。

OR回路

OR回路の動作を理解することで、デジタル回路設計において監視や通知の効率的な制御を実現することが可能となります。

3.2 OR回路の記号と真理値表

OR回路の動作を理解するために、論理式からMIL記号と真理値表で確認してみましょう。

OR回路の論理式:Z=A+B

MIL記号は、以下の図で示されます。

OR回路  記号

図の左側に2つの入力ABがあり、右側に出力Zが配置されます。この記号を用いることで、回路図上でOR回路を表現します。

OR回路の真理値表は、以下のとおりです。

入力A

入力B

出力Z

0

0

0

1

0

1

0

1

1

1

1

1

この真理値表から分かるように、入力Aと入力Bの少なくとも一方が1であれば、出力は1になります。すべての入力が0の場合のみ、出力が0になります。

3.3 OR回路の使用例

OR回路は、多くのデジタル回路で広く使用されています。ここでは、わかりやすいOR回路の具体例を紹介します。

セキュリティシステム

複数のドアセンサーがある場合、いずれかのセンサーがドアの開閉を検知したときに警報が鳴るように設定します。各センサーがOR回路に入力され、どれか一つでも信号が「1」になれば、警報システムが作動する仕組みです。

照明制御

複数のスイッチが1つの照明を制御する場合、いずれかのスイッチがオンになれば照明が点灯するように設定できます。どのスイッチからでも照明を操作できる便利な設定です。

インターホンシステム

玄関と裏口の両方にインターホンが設置されている場合、どちらのボタンが押されても家の中に通知が届くようにするためにOR回路が使われます。どちらの入口でも訪問者に対応できます。

OR回路は条件のいずれかが成立したときに動作する必要がある場面で有効です。

4.  NOT回路

NOT回路は、AND回路やOR回路をとは違う特徴があります。ここでは、動作の説明や記号・真理値表を解説し、NOT回路が使われる事例を取り上げます。

4.1 NOT回路の動作

NOT回路は「インバータ」とも呼ばれ、入力信号を反転させる働きをします。入力が「1」の場合は「0」に、入力が「0」の場合は「1」に変換します。

ベン図で考えると、以下の図で示されます。

NOT回路

NOT回路は他の論理回路と組み合わせて複雑な論理回路を構築するための重要な要素となります。たとえば、AND回路との応用であるNAND回路、OR回路との応用であるNOR回路のようにNOT回路の基本動作が応用されています。

4.2 NOT回路の記号と真理値表

NOT回路の動作を理解するために、論理式からMIL記号と真理値表で確認してみましょう。

NOT回路の論理式:Z=A()

MIL記号は、以下の図で示されます。

NOT回路  記号

NOT回路は、三角形の右側に小さな円が付いた形で表されます。右側の丸が入力信号を反転(否定)するというNOT回路の動作を示しています。

NOT回路の真理値表は非常にシンプルで、以下のとおりです。

入力A

出力Z

0

1

1

0

この真理値表から分かるように、NOT回路は入力が「0」の場合に出力が「1」となり、入力が「1」の場合に出力が「0」となります。

4.3 NOT回路の使用例

NOT回路は、その単純な反転動作により、さまざまな応用が可能です。ここでは、NOT回路の具体例をいくつか紹介します。

スイッチング回路

あるスイッチがオフのときにランプを点灯させたい場合、NOT回路を使います。スイッチがオフのとき入力が0であり、NOT回路の出力は1となりランプが点灯します。スイッチがオンのときは入力が1であり、出力が0となりランプが消灯します。

クロック生成回路

クロック信号の反転が必要な場合、NOT回路を使用します。これにより、クロック信号の位相を簡単に変更でき、タイミング調整が容易です。

制御システム

安全装置として機械が動作していないときは入力0となり、アラームを鳴らす回路を構築する際に使用されます。機械が動作している入力1のときには、NOT回路により出力0となりアラームがオフになります。

これらの使用例からも分かるように、NOT回路はシンプルでありながら、非常に多くの場面で活躍します。

5.  回路図作成フリーソフト——EdrawMax

論理回路を作成するのに便利なフリーソフトがEdrawMaxです。ここでは、EdrawMaxの特徴や実際の画面を紹介します。

5.1 EdrawMaxの特徴

論理回路の作成や記号の使用はEdrawMaxが役立ちます。EdrawMaxはオールインワンの作図ソフトであり、以下の特徴があります。

  • 多用途なテンプレート
  • 直感的なドラッグ&ドロップ機能
  • 高品質なシンボルライブラリ

EdrawMaxには、電気回路や論理回路など多様なテンプレートが用意されています。作図に慣れていないユーザでも検索でき、あらゆるニーズに対応した論理回路図を迅速に作成できます。操作は直感的で、ドラッグ&ドロップによりシンボルやパーツを簡単に配置し編集できます。初心者でも短時間でわかりやすい論理回路図を作成できます。

電気回路や論理回路など多様なテンプレートが用意される

EdrawMaxは論理回路の作成において非常に強力なツールです。使いやすさと高機能を兼ね備えたEdrawMaxを活用して、精度の高い回路図を作成してみましょう。

5.2 EdrawMaxでの論理回路の作成例

EdrawMaxを起動し、検索窓から多くのテンプレートが用意されています。今回は、「論理回路」と検索し、12個の論理回路テンプレートが表示されました。

論理回路図を作成する記号も多数準備されています。論理回路だけでなく各種電子部品のシンボルがそろっており、必要な要素をすぐに見つけて配置可能です。作成はクリックで簡単に操作編集ができ、効率的に作業を進められます。これらのシンボルは国際標準に準拠しており、正確で信頼性の高い回路図を作成できます。

論理回路図を作成する記号も多数準備されている

EdrawMaxは他のソフトウェアとの互換性が高いです。Microsoft OfficeやPDF、Visioなどさまざまな形式でファイルをエクスポートおよびインポート可能です。他のツールと併用しやすく、作成した回路図を他のメンバーと共有するのも簡単です。

6.  まとめ

論理回路は、コンピュータや電子機器の基盤を形成する重要な技術であり、以下の3つの基本要素があります。

  • AND(論理積)
  • OR(論理和)
  • NOT(論理否定)

これらの基本論理回路を組み合わせることで、複雑なデータ処理や制御機能を実現します。具体的な使用例として、セキュリティシステムや自動車のエンジン制御、家庭用電化製品の制御など、多岐にわたる分野で活用されています。

論理回路の作成には、EdrawMaxが非常に役立ちます。EdrawMaxは、多用途なテンプレートや直感的な操作、高品質なシンボルライブラリを備えた強力なツールであるからです。論理回路の作成にEdrawMaxを使用することで、図面作成に慣れていない方でも簡単に精度の高い論理回路を作成できます。無料で使用できるので、ぜひダウンロードして試してみましょう。

関連記事