電気回路図 知識

リレー回路図とは?基礎知識や書き方を紹介

電気制御システムを学ぶと避けては通れないリレー回路。複雑な原理やルールについて、リレー回路が難しいと思っている方もいるのではないでしょうか。この記事では電気に関して初学者でも、リレー回路図がどのようなものか、書き方やルールについて簡潔に理解できるように解説します。リレーの定義から動作原理、リレー回路図の全体像を掴むことで、電気制御システムを理解できます。これから勉強する方、リレー回路図を作成したいと思っている方は参考にしてください。

1.  リレー回路図とは?

リレー回路図の例

リレー回路図は、電子機器や自動車などのさまざまな装置における電気制御を理解する上で不可欠です。制御の動作順序がわかるように回路構成を展開した接続図であり、「リレー回路図」や「シーケンス回路図」と呼ばれます。ここでは、リレーの基本的な定義からその動作原理、さらにはリレーが使われる具体的なケースについて詳しく掘り下げます。

1.1 リレーの定義

リレーは、電磁石を使用して物理的にスイッチを開閉することで、一つの電気回路から別の電気回路を遠隔操作する装置です。このスイッチ操作によって、大きな電流を小さな電流で制御することが可能になります。

リレー回路は、電気信号によって別の回路のオン・オフを制御する電気回路です。リレーの原理を利用して、小さな電流で大きな電流を制御できます。リレー回路は構造がシンプルで信頼性が高く、電子機器や自動車、家庭用電器など幅広い分野で使用されています。

1.2 リレーが使われるケース

リレー回路が制御する別回路は、どのようなものがあるでしょうか。別回路を制御する目的は、以下の4つがよく使用されます。

  • 別回路のスイッチとして使用する
  • 回路の信号を分岐する
  • 電源や電圧を変換する
  • 信号を保持する

これらの目的によりリレー回路は、電力の制御が必要な多くの場面で活躍してきました。たとえば自動車であれば、以下のケースで使用されます。

  • ヘッドライトのオン・オフ
  • エアコンの制御
  • パワーウィンドウの操作

産業用機械では、モーターの起動や停止、電力のルーティングといった重要な役割を担っています。家庭では、エアコンや冷蔵庫などの大きな電力を消費する家電製品の制御に使われることがあります。

1.3 リレーの動作原理

リレーの基本的な動作原理は、電磁石に電流を流すことで生じる磁力を使用して、スイッチを物理的に開閉することです。電流が電磁石を流れると、磁力が発生し、これがスイッチ部分を引き寄せるか押し出すことにより、回路が開閉されます。電流を停止すると、磁り力が失われ、スプリングなどの復元力によりスイッチが元の状態に戻ります。

1.4 リレーの種類

リレーの種類の代表例として、以下の3つがあります。自動車や産業用機器などで広く利用されている種類です。

リレーの種類

特性

4極リレー(ノーマルオープンタイプ)

通常時には接点が開いている(非導通状態)リレーです。電磁石に電流が流れることで接点が閉じるため、電源がオンのときのみ負荷に電力を供給します。電源を投入することで特定の装置を作動させたい場合に適しています。

4極リレー(ノーマルクローズタイプ)

通常時には接点が閉じている(導通状態)リレーです。電磁石に電流が流れた時、接点が開くため、電源がオフのときに負荷への電力供給を停止します。安全装置や、電源が落ちた時に動作を停止させたい装置の制御に使用されます。

5極リレー

4極リレーと比べて1つ多い5つの接点を持っています。通常のノーマルオープンまたはノーマルクローズの機能に加えて、変更機能を提供します。リレーが動作した時に2つの異なる回路を同時に制御し、一方の回路をオンにしながら同時にもう一方の回路をオフにするなどの操作が可能です。5極リレーは、より複雑な制御が必要な場面や、複数の装置を同時に制御する必要がある場合に適しています。

接点の配置や動作特性によって区分され、特定の用途に応じた制御が可能です。適切なリレーを選択することで、電気回路の安全性と効率性を高められます。 

2.  リレー回路図の記号一覧

https://e-sysnet.com/sequentialcontrol/

電気回路図やシーケンス図は、全体の構成を展開した機器の動作や機能を表現したものです。図面上では正式名称ではなく記号や略語で示され、接続機器が簡略化されています。ここでは、図面上で表示される記号や使用例を紹介します。

2.1 電気用図記号と例

電気用図記号は、回路図を描く際に使用する記号です。一般的に使用される電気用図記号は「JIS C 0617」に記載されるものを使用します。

スイッチ

ランプ

T字接続部

スイッチのシンボル ランプのシンボル T字接続部の記号

電気用図記号は、回路内で設置されるスイッチやランプなどの要素を表し、回路全体の構成を理解できます。回路図を把握する基本的な記号であるため、電気エンジニアを目指す方には必須の知識です。

2.2 品目記号と例

シーケンス図や電気回路図では、電気機器を長い名称で記述する代わりに略された品目記号を使用します。図面の可読性が向上し、設計や解析がスムーズに行われます。主な品目記号は以下のとおりです。

品目記号

意味

PL

パイロットランプ

R

抵抗器

C

コンデンサ

S

スイッチ

BS

ボタンスイッチ

MC

電磁接触器

U (IC)

集積回路

 複数存在する場合はR1、R2、R3のように番号をつけて区別します。これらの略号は回路図を読む際に欠かせない知識です。

2.3 制御器具番号と例

制御器具番号は、電気回路図やシーケンス図におけるさまざまな機器を特定するために使用される識別番号です。「シーケンス番号」や「リレー記号」と呼ばれることがあります。主な制御器具番号は、以下のとおりです。

制御器具番号

表している器具

45

直流過電圧継電器

51

交流過電流継電器、または地絡過電流継電器

52

交流遮断器、または接触器

69

流量スイッチ、または継電器

75

制動装置

日本電機工業会で定められている規格では、1~99の数字で制御器具を表します。図面上での機器の位置や機能を把握し、技術者が容易に回路構成を理解できメンテナンス作業が効率的になるでしょう。

3.  リレー回路図の書き方とルール

リレー回路図は、電気回路の構成を記号や番号で簡略化して作図します。図面は、縦書きでも横書きでもかまいません。縦書きの場合は左から右へ、横書き接続図の場合は上から下へ電流が流れるように描きます。ここでは、リレー回路図の書き方を解説します。

3.1 プラス極の線を引く

プラス極の線を引く

リレー回路図を縦書きする場合は、上部にプラス極の線を引きます。横書きの場合は、左側にプラス極の線を引きます。

リレー回路図では、電源の記号は書きません。展開図なので、電流の流れにそって機器が動作する順番がわかるように記載するためです。

記号の意味

P:プラス極

3.2 電流の流れにそって接続機器を配置する

電源が切れている状態で、機器を配置します。先に記載した電気用図記号や品目記号で機器を明示します。回路ごとに記載するので、どのように動くかがわかりやすくなります。

接続機器を配置する

この例では、リレーに通電することによりONになるメイク接点と、リレーに通電しなくなるとONになる「ブレイク接点」があります。回路のスイッチは上に配置し、ランプなどの機器は下に配置することが多いです。

記号の意味

S:スイッチ

R-m:スイッチ(リレーのスイッチで通常時開けるメイク接点)

S-b:スイッチ(リレーのスイッチで通常時閉まるブレイク接点)

L1、L2:ランプ

3.3 リレーを配置する

リレーを配置します。長方形の図形を描いて、リレーを意味する「R」を記載します。

リレーを配置する

リレーはマイナス極に近い場所に配置することが多いです。リレーが複数ある場合は、数字をつけてR1、R2のように記載します。

記号の意味

R:リレー

3.4 マイナス極の線を引き回路を完成させる

下部にマイナス極を引き、配置した機器を回路ごとに線でつなげます。

マイナス極の線を引く

記号の意味

N:マイナス極

リレーによって、右側の回路のスイッチであるメイク接点とブレイク接点を制御します。

接点を制御

4.  リレー回路図作成フリーソフト——EdrawMax

簡単なリレー回路の事例を紹介した図面は、作図ソフト「EdrawMax」で作成したものです。ここでは、EdrawMaxがリレー回路作成ソフトとしておすすめできる理由をお伝えします。

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4.1 テンプレートとシンボルが豊富にある

テンプレートとシンボルが豊富にある

さまざまな図面を作成できるEdrawMaxは、2,000種類以上のテンプレートがあります。シンボルは50,000を超え、イメージする図面を0から作成する必要はありません。

ソフトを起動して思い描いたテンプレートがなければ、オンライン上でユーザーが作成したテンプレートを使用できます。

たとえば、今回の「シーケンス図」もユーザーが作成したテンプレートが存在します。好みの用途にあったものを選択して、作図できます。EdrawMaxはリレー回路図だけでなく、電気に関する配線図や基本回路図などのテンプレートやシンボルがあり、作図の初心者でも取り扱いやすい設計です。

4.2 初心者でも簡単に使いこなせる

画面の見た目は使いやすいインターフェースで、初めてでも操作に困りません。特に、オフィス製品に慣れた方であれば、わかりやすい画面で直感的に使用できるでしょう。

ドラッグ&ドロップである程度の操作ができ、図面作成の時間が短縮されます。たとえば、こだわりの図面を作成する場合はテンプレートから修正すれば時間短縮が可能です。

4.3 無料で誰でもお試しで使える

EdrawMaxは、ほぼすべての機能を無料で使えます。(EdrawMax無料版の機能を確認する)インストール方法は、公式サイトからプログラムをダウンロードしてダブルクリックするだけ。無料での使用は、一部テンプレートの使用やAI機能などの制限があります。

興味がある方は、ダウンロードページからお試しください。

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