電気回路図 知識

単線結線図とは?基本知識・読み方・書き方を解説

電気工事士や電気の設計に携わる業務を目指す方にとって、単線結線図は欠かせない図面の1つです。電気の世界は複雑に思えるかもしれませんが、その基本を理解することはそれほど難しくありません。単線結線図は電気の流れを一目で理解できる、シンプルな図面です。

単線結線図の知識がなければ、設計はもちろん、現場での施工やメンテナンスができません。この記事では、単線結線図の基本知識から書き方までを、初学者でも理解しやすい形で解説します。電気について学び始めたばかりの方は、単線結線図についての基本知識や図面のルールを学ぶことができます。

関連記事: 複線図の書き方を分かりやすく解説【電工試験向け・保存版】

1. 単線結線図とは?

単線結線図は、建物や工場などで使われる電気の流れや接続を、とてもシンプルに一本の線といくつかの記号で示したものです。「単結」「単線図」「スケルトン・ダイヤグラム」とも呼ばれます。例えば、家やビル、工場などで使われる電気の配線を、わかりやすく図にしたものと考えると良いでしょう。

単線結線図の特徴は、表記のシンプルさです。複雑な電気の配線を、一本の線で表すことで、どの機器がどこにつながっているのかを簡単に把握できます。新しく建物を建てる時や、既存の建物に新しい電気設備を追加する時など、電気の計画を立てる際にとても役立ちます。

単線結線図

参考図:令和5年度第一種電気工事士試験【午後】問題3より抜粋

上記は、第一種電気工事士試験の試験問題から抜粋した単線結線図です。回路全体で電気がどのように流れ、機器同士がどのようにつながっているかを示しています。設計者だけでなくエンジニアや現場で電気工事を行う職人などが、電気設備の全体像を把握し、効率的に作業を進められます。

電気を扱う仕事においてとても重要な図面で、シンプルさとわかりやすい表記で全体を容易に把握できるので、設計や協議での確認資料として利用します。

2. 単線結線図はどんな場合に使われるでしょうか

単線結線図は、電気に関わるさまざまな状況で活用されます。特に、新しい建物や設備を設計する時や、既存の設備を改良・統合する時に役立ちます。ここでは、それぞれの事例について確認してみましょう。

2.1 新しい建物や設備の電気の流れを把握したい場合

新しい建物や設備を設計する際、電気が効率的かつ安全に機能することが重要です。

単線結線図を使うことで、電気の流れや機器の配置、そしてシステム全体の動作が一目でわかります。これにより、電気工事士や設計者は、電気配線のサイズや選定、安全な電力の分配、安全性が確保されているかを判断できます。

2.2 既存設備の拡張や統合で電気設備の全体像を把握したい場合

既存の建物や設備に変更や追加を行う際、新旧の電気システムがどのように連携するかを正確に理解することが必要です。

単線結線図は、既存のシステムの概要を示し、新しい部分がどのように組み込まれるかを視覚的に表現します。技術者はシステムの容量や安全性、効率性に影響を及ぼす可能性のある問題を事前に特定し、適切な調整を行えます。さらに、拡張や改修に伴うコストの見積もりや計画の策定にも、単線結線図は参考資料となるでしょう。

3. 単線結線図の記号一覧

単線結線図では、電気システムの各要素を表現するためにさまざまな記号が使用されます。ここでは、次のカテゴリーに分けて紹介します。

  • 器具類
  • ケーブル類
  • 電源・その他

3.1 器具類

器具類の記号は、電気システム内の各種機器を表します。これには以下のようなものが含まれます。

変圧器 変圧器 通常、円や正方形の中に文字「T」で表されます。
左の例は、リモコン変圧器です。
遮断器 遮断器 線の途中に小さな長方形や円形で示され、その中に「B」などの文字が入ります。
左の例は、配線用遮断器です。
 ランプや照明器具 引掛シーリング  

用途によりさまざまな器具があります。

左の例は左から、引掛シーリング、ランプレセプタクル、蛍光灯です。

3.2 ケーブル類

ケーブル類の記号は、電気システム内の配線や接続を示します。これには以下のようなものが含まれます。

単線 通常、直線で表され、線の種類や目的に応じて異なる記号が付加されます。
例えば「IV1.6」のような表記で、IVはビニル絶縁電線、1.6は心線の直径です。
多芯ケーブル 複数の線が束になっていることを示し、線の数を示す数字が添えられます。
例えば「VVF1.6」のような表記で、VVFは平形ケーブル、1.6は心線の直径です。
接続点 線が交差する点には、接続を示す小さな円が描かれます。

3.3 電源・その他

電源およびその他の記号は、電気システムの電源や追加の機能を表します。これには以下のようなものが含まれます。

電源 通常、円形の中に「AC」や「DC」といった文字で交流や直流を示します。
例えば「1Φ2W 100V」のような表記で、1Φは単相、2Wは2線です。
センサーや計器 特定の機能を持つセンサーや計器は、その機能を示す特定の記号で表されます。
スイッチ横のカタカナ スイッチや器具の横に書かれているカタカナは、スイッチに対応する器具を表します。
例えば、「イ」と表記のあるスイッチとランプレセプタクルが対応します。

これらの記号は、単線結線図を理解し、電気システムの設計や分析を行う上で基本的な要素です。それぞれの記号は、特定の機能や器具を簡潔に表現するためにルール化されています。

これらの記号を正確に理解し使用することで、効率的かつ効果的にシステムの概要を描けます。

4. 単線結線図の読み方

単線結線図の読み方を理解することは、電気設計や工事において非常に重要です。ここでは、単線結線図の読み方の要点を説明します。

4.1 線の本数は斜め線で表記される

単線結線図では、一本の線で複数の電線を表現することが一般的であり、線の本数は線上に斜め線を描くことで示されます。

例えば、三相電源を表す場合、一本の線に斜め線を三本描くことで、三本の電線が存在することを示します。この表記法により、図面が複雑になりすぎることを防ぎ、全体の構造を簡単に把握できます。

4.2 接続部分は黒丸で表記される

単線結線図において、異なる電線や器具が接続されている部分は、通常、黒丸で表記されます。

この黒丸は、電線や機器が物理的に接続されている点を示しています。線が交差しているが接続されていない場合、黒丸は使用されません。この表記法により、どの電線がどの機器に接続されているかを明確に理解できます。

4.3 よく使う器具番号は覚える

単線結線図には、さまざまな電気機器や部品が記号とともに描かれます。これらの機器は通常、特定の番号や記号で識別されます。器具番号や記号を覚えることにより、図面を迅速かつ正確に解釈できます。

器具番号は、特定のタイプの機器を一貫して識別するために使用されます。例えば、変圧器、遮断器、接地端子などは、それぞれ固有の記号や番号で表されます。これらの番号を覚えることで、図面上の各要素の機能や役割を迅速に把握できます。

5. 単線結線図の書き方とルール

単線結線図の作成にはルールがあるため、手順どおりに書きましょう。以下に、単線結線図を作成する際の基本的なルールと手順を説明します。

5.1 外部からの接続を確認する

単線結線図を作成する最初の手順は、外部からの電源接続を確認することです。

電源の種類(ACまたはDC)、電圧レベル、および供給される電流の量を特定しましょう。この情報はシステムの設計と機能に大きな影響を与えるため、正確な記載が必要です。

5.2 接続器具を配置する

次に、電気システム内の器具を図面上に配置します。主な器具は以下のとおりです。

  • スイッチ
  • 照明器具
  • 変圧器
  • 遮断器
  • 接地端子
  • 計器

各機器は、単線結線図で一般的に使用される標準的な記号を用いて表現されます。

5.3 接続する線を記載する

各機器間の接続は、線を用いて示されます。

これらの線は、電気的な接続を表すため、正確に描かれる必要があります。線の本数や種類(単相、三相など)は、斜め線や特定の記号を用いて明確に示されます。

5.4 機器番号や容量などの仕様を記載する

各機器の詳細な仕様を図面に記載します。主に以下の内容を表記します。

  • 機器の型番
  • 容量
  • 定格電圧

これらの情報は、システムの機能と安全性を理解するために不可欠です。

5.5 補足情報は書き込みすぎないように記載する

単線結線図は、システムの概要を簡潔に示すことを目的としているため、詳細な情報は記載しません。

補足情報は必要最小限に留め、図面の読みやすさを保つことが重要です。例えば、特定の機器の詳細な特性やシステムの運用に関わる細かい指示は、単線結線図ではなく別の技術文書や操作マニュアルに記載しましょう。単線結線図の主な目的は、電気システムの全体像を効果的に伝えることにあるので、図面上の情報は最小限に限定することが望ましいです。

これらのルールと手順に従うことで、単線結線図は電気システムの設計、分析、およびトラブルシューティングにおいて活躍します。正確かつ簡潔な単線結線図は、電気システムの理解を深め、効率的な設計と運用に役立ちます。

6. 単線結線図フリーソフト:EdrawMax

Edrawmaxでは、豊富な回路図テンプレート、 電気記号があり、ドロップするだけで単線結線図を簡単に作成することができます。

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例として、令和5年度第二種電気工事士技能試験の候補問題を作図します。

単線結線図  作成

完成予定図:令和5年度第二種電気工事士技能試験の候補問題(No.7)より抜粋

step1.Edrawmaxを起動して、新規作成から「基本電気回路図」を選択します。

Edrawmaxを起動

step2.外部からの接続を確認し、器具を配置します。今回は、ランプレセプタクル、スイッチの他にも、ジョイントボックスまで記載しています。

外部からの接続を確認し、器具を配置

step3.接続する線を記載します。

接続する線を記載

step4.器具やケーブルの詳細を記載します。

器具やケーブルの詳細を記載

Edrawmaxは電気系のテンプレートが複数用意されており、希望する表示形式で単線結線図だけでなく複線図や配線図などを書けます。

無料でダウンロードして使用できるので、興味がある方はお試しで使用してみてはいかがでしょうか。

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