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失敗例から学ぶシステム構成図の書き方

あなたはシステム構成図について知っていますか?システム構成図は、複雑な技術構造を視覚的に表現するツールです。ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク要素が相互にどのように連携し、システム全体が機能するかを明示的に示します。この記事では、システムの構造を理解しやすくし、異なるステークホルダー間でのコミュニケーションを円滑にするために不可欠な視覚的手段としての役割に焦点を当てます。

1.システム構成図とは?作成する目的は?

システム構成図(System Architecture Diagram)は、あるシステムやソリューションの構造や構成要素を視覚的に表現したものです。この図は、異なるコンポーネント、ハードウェア、ソフトウェア、データフロー、およびその他の要素がどのように相互に作用し、連携しているかを示します。システム構成図は、以下の目的で作成されることがあります。

設計と理解: システム構成図は、システムのアーキテクチャや構造を設計段階で視覚的に理解するのに役立ちます。開発者やエンジニアは、システム全体の全体像を把握しやすくなります。

コミュニケーション: システム構成図は、異なるステークホルダー間でのコミュニケーションを助けます。開発者、プロジェクトマネージャー、ビジネスアナリストなどが同じ図を見ながら話すことで、誤解を防ぎ、共通の理解を構築できます。

トラブルシューティング: システムが稼働している際、問題が発生した場合にシステム構成図を用いてトラブルシューティングが行えます。特定のコンポーネントや接続点を把握することで、問題の原因を特定しやすくなります。

関連記事: トラブルを特定できる特性要因図とは?

変更管理とアップグレード: システムが進化する過程で、新しいコンポーネントの追加や既存の要素の変更が発生します。システム構成図は、変更が行われた後のシステム全体の構造を確認し、アップグレードが計画通りに進行しているかを確認するのに役立ちます。

ドキュメンテーション: システム構成図はプロジェクトのドキュメンテーションの一部として使用されます。プロジェクトの進行に合わせて、システムの構成が変更される可能性があるため、最新の状態を保ちながらプロジェクトの進行を追跡することが重要です。

総じて、システム構成図はシステム全体を理解し、効果的に管理するために不可欠なツールとなっています。

2.システム構成図の要素(構造)

システム構成図には、特定のシステムの構造や構成を視覚的に表現するためのさまざまな要素が含まれます。以下は、一般的なシステム構成図で見られる主要な要素です。

図1.システム構成図の例(AWS構成図)

ハードウェアコンポーネント:
サーバー: システムが稼働する物理的なサーバー。データベースサーバーやアプリケーションサーバーなどが含まれます。
ネットワーク機器: ルーター、スイッチ、ファイアウォールなど、ネットワーク通信を管理するための機器。

ソフトウェアコンポーネント:
アプリケーション: ビジネスロジックや特定の機能を提供するソフトウェアアプリケーション。
データベース: システムが使用するデータを格納するデータベース。リレーショナルデータベースやNoSQLデータベースなどが含まれます。

ミドルウェア:
メッセージングブローカー: システム内でのメッセージ通信を仲介するソフトウェア。
アプリケーションサーバー: アプリケーションの実行環境を提供し、クライアントとデータベースの間で通信を仲介する。

データストレージ:
ファイルシステム: ファイルの格納や管理を行うためのデータストレージ。
データウェアハウス: 大量のデータを集約、管理し、分析用に最適化されたデータベース。

ユーザーインターフェース:
ウェブフロントエンド: ユーザーが直接対話するウェブベースのユーザーインターフェース。
モバイルアプリケーション: スマートフォンやタブレット向けのアプリケーション。

セキュリティコンポーネント:
ファイアウォール: 不正アクセスからネットワークを保護するためのセキュリティ機器。
認証およびアクセス管理: ユーザーやシステムへのアクセスを管理する仕組み。

外部インターフェース:
APIエンドポイント: システムと外部サービスやアプリケーションとのインターフェース。
データフィード: 外部からのデータの取り込みや外部へのデータの提供。

これらの要素は、特定のシステムのニーズや構成によって変化する可能性があります。システム構成図を作成する際には、対象となるシステムの特徴に基づいて要素を選択し、それらがどのように相互作用するかを明確に表現することが重要です。

3.システム構成図の失敗例分析

それでは、目的を達成できないシステム構成図とは、どのようなものでしょうか?システム構成図を作成する目的の1つは、システムがどのように構成されているかを分かりやすく理解することですから、複雑すぎるシステム構成図は目的を達成することができません。以下は、1つのわかりにくいシステム構成図を例にして考えていきましょう。

わかりにくいシステム構成図の例

図2.わかりにくいシステム構成図の例

情報不足:

この図では、4台のサーバが書かれています。ですが、システムにおけるそれぞれのサーバの役割が明確ではありません。たとえば、アプリケーションサーバなのかデータベースなのか、それらがこの図には表現できていません。

複雑さ:

この図では、サーバー間が線でつながれていますが、どれとどれがつながっているのかが分かりづらいです。たとえば、サーバー間に階層構造が存在するのであれば、階層化してしまえばシンプルでわかりやすくなります。サーバーの種類に応じて色分けをすると分かりやすい場合もあります。

図3では、修正したシステム構成図を示します。各サーバーの役割が記載されています。次に図が階層化されています。データベースサーバは他のサーバとアイコンも変えています。最後にサーバの種類ごとに色分けをしています。分かりやすくなったのではないでしょうか?

修正したシステム構成図

図3.修正したシステム構成図

システム構成図の失敗分析は、コミュニケーションの改善、正確な情報の使用、適切なツールとプロセスの導入などを通じて、より効果的なシステム構成の可視化を実現する手助けとなります。

4. 分かりやすいシステム構成図を書くポイント

さきほどの失敗例から、分かりやすいシステム構成図を書く際のポイントを導いてみましょう。

4-1:役割を明確化する:

図の中のアイコンがシステム内にどのような役割を担当しているかを明確にしましょう。先ほどの例では、そのアイコンがデータベースなのかロードバランサ―なのか明確にしましょう。

4-2:明確な階層構造:

システムの異なる階層を分かりやすく示すことが重要です。例えば、クライアントに一番近いサーバをクライアント側に、一番遠いところにデータベースを記載するなどの階層を明確にしましょう。

4-3:適切なアイコンの使用:

役割が異なる構成要素には異なるアイコンを採用するなどをすると、ぱっと見ただけで構成がわかるようなシステム構成図をこころがけましょう。

4-5:図の色と形:

色や形状を使って異なる要素や機能を区別します。例えば、サーバーは四角で示し、データベースは円形で示すなど、視覚的な差異を活かすと理解が進みます。

4-6:適切なツールの利用:

適切なツールを使用して構成図を作成します。ツールによってはシンボルやテンプレートが用意されており、これを利用することで効率的にかつ統一感のある図を描くことができます。

これらのポイントを考慮することで、システム構成図が分かりやすく、他のチームメンバーや関係者が迅速に理解できるようになります。

5. システム構成図をパパッと作ろう!便利なツール3選

システム構成図を作成・管理する場合に便利なツールを利用すると効率的です。手書きでシステム構成図を作成・管理することを想像してみてください。大変そうですよね。ここでは便利なツールのうち、Visio, draw.io, Edrawmaxについてそれぞれの簡単な解説の後で、比較を行います。

Microsoft Visio:

Microsoft Visio
利点:
マイクロソフトの製品であり、Officeスイートとの親和性があります。
多くのテンプレートとシェイプが用意されており、専門的な図や図表を作成するのに適しています。
強力な図形整列と配置機能があります。

欠点:
ライセンスコストがかかります。
クラウドベースの共同作業機能が他のツールより制限されています。

EdrawMax:

edrawmax UI
利点:
多岐にわたる図やグラフィックを作成できる多機能なツール。
シンプルで使いやすいユーザーインターフェース。
フリーバージョンが提供されており、有償版も手頃な価格、 約Visioの三割で導入可能です。
欠点:
一部の高度な機能は有償版が必要です。

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draw.io

draw.io
利点:
オープンソースで無料で使用できる。
クラウドベースであり、異なるプラットフォームやデバイスで利用可能。
多くの組織が利用しており、積極的に更新・改善が行われています。

欠点:
オフラインモードでは一部機能が制限されることがあります。
ネットワーク接続が必要です。

3つのツールの比較

価格: Visioが商用製品でライセンスが必要です。一方、draw.ioはオープンソースで無料で、EdrawMaxはフリーバージョンがありますが、一部機能制限があります。
使いやすさ: draw.ioとEdrawMaxは使いやすいとされています。特にクラウドベースのdraw.ioはアクセスしやすいです。
機能: Visioは多くの専門的な機能を提供しますが、draw.ioやEdrawMaxも一般的なユーザーに十分な機能を提供しています。
プラットフォーム対応: VisioはWindowsに特化していますが、draw.ioやEdrawMaxはクラウドベースであるため、異なるプラットフォームやデバイスで使用できます。
テンプレートとシェイプ:

Visioが最も多くのテンプレートとシェイプを提供していますが、draw.ioやEdrawMaxも多様な選択肢があります。

選択はプロジェクトの要件や予算に依存します。Visioは企業の要件に対応するために最適である一方、draw.ioやEdrawMaxはクラウドベースで手軽に始められるため、プロジェクトのスケールや利用目的によって選択すると良いでしょう。

まとめ


システム構成図は複雑な技術構造を視覚的に表現するツールであり、異なるステークホルダーのコミュニケーションを円滑にする役割がある。システム構成図の要素にはハードウェア、ソフトウェア、ミドルウェア、データストレージ、セキュリティコンポーネント、外部インターフェースなどが含まれる。失敗の原因としては不正確な情報、過度な複雑さ、ツールの不適切な使用が挙げられ、これらを改善することが重要である。分かりやすいシステム構成図を作成するためにはシンプルさ、整合性、階層構造の明確さ、適切なラベリング、色や形の活用、アイコンの使用、方向性の明示、グループ化と整理、適切なツールの利用がポイントとなる。Visio、draw.io、EdrawMaxはそれぞれ利点と欠点があり、選択はプロジェクトの要件や予算に依存する。

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