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アローダイアグラム(PERT図)とは?読み方・書き方を全面解説(テンプレート付き)

あなたはアローダイアグラムについて知っていますか?アローダイアグラム(PERT図)は、プロジェクト管理において時間や依存関係を視覚的に表現する優れた手法です。活動やタスクをノードで表し、アローで結ぶことで、プロジェクトの進捗やクリティカルパスを明確に示すことができます。リスクの特定や効果的なスケジュール管理に寄与し、チーム全体がプロジェクトの全体像を把握しやすくします。

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1.アローダイアグラム(PERT図)とは?導入する目的は?

アローダイアグラム(Arrow Diagram)は、プロジェクト管理やシステム工学の分野でよく使用されるプロジェクトスケジュールを可視化するための図です。PERT(Program Evaluation and Review Technique)図とも呼ばれます。PERTは、プロジェクトの進捗やリソースの管理に役立つ手法の一部として導入されます。

アローダイアグラム(PERT図)が導入される目的:

スケジュールの計画と管理 アローダイアグラムは、プロジェクトの各活動とそれらの活動間の依存関係を視覚的かつ明確に示すため、プロジェクトのスケジュールを計画し、管理するのに役立ちます。
リソースの最適な利用 活動の依存関係を理解し、それに基づいてプロジェクトの進行を調整することで、リソースの最適な利用が可能になります。
リスクの識別と管理 アローダイアグラムは、プロジェクト内の依存関係を明確に示すため、リスクを特定しやすくし、遅れや問題が発生した場合にそれに対処するための計画を立てるのに役立ちます。
コミュニケーションの促進 チームメンバーやステークホルダーに対して、プロジェクトの進捗やスケジュールを理解しやすく伝える手段として使用されます。
全体的な進捗の把握 アローダイアグラムは、プロジェクト全体の進捗を一目で把握するのに役立ち、プロジェクトの成功に向けて効果的な意思決定をサポートします。

アローダイアグラムは、プロジェクトの複雑な構造を視覚的に表現し、スケジュールの進捗や問題の追跡に貢献する強力なツールです。

図1.アローダイアグラム(PERT図)の例

2.アローダイアグラム(PERT図)の表記法と読み方

アローダイアグラム(PERT図)の表記法は、プロジェクト管理やシステム工学の文脈で使用されます。以下はアローダイアグラムの主な表記法と、ノードやアローの読み方に関する一般的なガイドラインです。

アローダイアグラムの構成要素

図2.アローダイアグラムの構成要素

ノード

ノードはプロジェクトのある状態を示します。例えば設計完了、製造完了、テスト完了などがノードの状態として表されます。ノードはアローダイアグラム内では丸で表現されます。(図2の赤枠内)

アロー

ノードとノードの間は矢印を用いて表現されます。これをアローと呼びます。
矢印の向きは、作業の順序性を表現します。図2の例で言えば、状態1の後で作業Aを実施することによって状態2に遷移します。
アローは通常、実線を使います。ただし特殊な例として点線を用いることがあります。これはダミー作業と呼ばれるものです。(図2の青枠内)
ダミー作業の必要性や意味については後述します。アローの上には実際の作業内容(図2の黄枠内)、アローの下にはその作業を実施する際の作業時間(図2の緑枠内)を記入します。


クリティカルパスとは、作業を完結させるために最も「クリティカル(致命的)」な作業経路を指します。

余裕のない経路を意味し、最早時刻と最遅時刻が等しい経路のことです。
・最早時刻:作業開始日からかぞえて、最も早く作業に取りかかる時刻(タイミング)
・最遅時刻:作業完了日から逆算し、「いつまでに完了していないと遅延するか」が明らかになる時刻

これらのガイドラインに従って、アローダイアグラムを理解し読み解くことができます。プロジェクトの複雑なスケジュールや依存関係を可視化し、効果的なプロジェクト管理をサポートするために利用されます。

3.アローダイアグラム(PERT図)の書き方

アローダイアグラムの実際の書き方をEdrawMaxを用いて書いていきましょう。

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まずは以上のボタンからEdrawMaxをインストールして起動し、[新規作成]->プロジェクト管理->PERT図->新規作成を選択します。

左側のペインから丸の図をドラッグアンドドロップしてノードを配置します。

ノードを配置

左側のペインから矢印をドラッグアンドドロップしてノード間を接続します。

ノード間を接続

ノードをダブルクリックしたり、矢印をクリックするとテキストを入力できます。

テキストを入力

4. アローダイアグラムを書く時の注意点

アローダイアグラムを書く際には、注意深く計画し、プロジェクトの理解とコミュニケーションを促進するために以下のポイントに留意することが重要です。

明確で正確な活動の定義 各ノードが表す活動は、明確で正確に定義されるべきです。活動が抽象的すぎると、誤解を生む可能性があります。
依存関係の正確な描写 アクティビティ間の依存関係は正確に描写されるべきです。依存関係が誤っていると、プロジェクトスケジュールが正確に反映されない可能性があります。
所要時間のリアリティ 各アクティビティの所要時間は現実的であることを確認してください。過大評価や過小評価が、プロジェクトスケジュールの誤りを招く可能性があります。
クリティカルパスの識別 クリティカルパスがプロジェクトの最短所要時間を示す重要な要素です。クリティカルパスを正確に識別し、プロジェクトの遅延の可能性を把握してください。
適切な視覚表現 ダイアグラムの視覚的な表現は理解しやすくするために工夫が必要です。色分けや形状の利用、整然とした配置などが役立ちます。
進捗状況の更新 プロジェクトが進行するにつれて、アクティビティの進捗状況を更新し、必要に応じてアローダイアグラムを修正してください。
明確な説明とドキュメンテーション アローダイアグラムには十分な説明やドキュメンテーションを付けることが重要です。他の関係者が理解しやすくなります。
柔軟性の確保 プロジェクトの変更に備えて、アローダイアグラムを柔軟に保つように心がけましょう。変更が発生した場合に、素早く対応できるようにします。
チームとのコラボレーション アローダイアグラムの作成は単独作業だけでなく、関係者やチームとのコラボレーションが重要です。関係者の意見や情報を取り入れながら進めましょう。

これらの注意点に留意することで、アローダイアグラムをより効果的に作成し、プロジェクトの計画や進捗の可視化に役立てることができます。

5. アローダイヤグラムのダミー作業とは?

アローダイアグラムにおいて、ダミー作業(Dummy Activity)は、実際には作業そのものではなく、依存関係を適切に表現するために挿入される架空の活動を指します。これは、プロジェクトの依存関係を正確に表現する際に使用される手法の一つです。

アローダイアグラムの構成要素

上記の例では青枠がダミー作業ですが3の状態になった後で、作業Eが開始できることを意味します。

ダミー作業は、アローダイアグラムが複雑なプロジェクトの構造を正確に表現できるようにするための手段として使用されます。ただし、ダミー作業が増えすぎるとダイアグラムが複雑になり、理解が難しくなる可能性があるため、適切なバランスを保つことが重要です。

6.作成効率UP!PERT図のテンプレートを利用しましょう!

上記の内容を見ても、ゼロから作成するのが面倒だと思ったり、図形作成が苦手だと思った場合はどうすればいいでしょうか?まずはPERT図のテンプレートを利用してはいかがでしょうか?

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7. アローダイアグラムとガントチャートと違い

アローダイアグラムとガントチャートは、プロジェクト管理において使われる異なる種類の図表であり、それぞれ異なる情報を提供します。以下は、アローダイアグラムとガントチャートの主な違いについての説明です。

アローダイアグラム:

表現方法:
アローダイアグラムは、活動(アクティビティ)とそれらの活動間の依存関係をノードとアローを使って表現します。アクティビティの開始と終了が明示的に示され、アローの方向が依存関係を示します。

依存関係の可視化:
アローダイアグラムは、活動間の依存関係やプロジェクトの進捗パスを視覚的に示すことが得意です。クリティカルパスの識別がしやすいのが特徴です。

所要時間とフロート時間の表示:
各アクティビティには所要時間やフロート時間(余裕時間)が記載され、プロジェクトスケジュールの最適化に役立ちます。

ガントチャート:

表現方法:
ガントチャートは、時間軸に対して活動の開始と終了時刻を棒グラフで表示します。プロジェクトの進捗が時間の経過に沿って分かりやすく示されます。

時間軸に基づく可視化:
ガントチャートは、プロジェクトの進捗を時間軸に基づいて表示するため、活動の期間や重複する作業を視覚的に確認しやすいです。

リソースの割り当てと利用:
ガントチャートはリソースの割り当てや活動の同時進行を把握するのに適しています。複数のプロジェクトやタスクが同時に進行している場合、ガントチャートはその全体像を提供します。

共通点:

プロジェクト進捗の可視化:
どちらもプロジェクトの進捗を可視化し、スケジュールの管理やコミュニケーションの補完に役立ちます。

プロジェクト計画の理解:
アローダイアグラムとガントチャートは、プロジェクト計画を理解し、関係者とのコミュニケーションを円滑に進めるために使用されます。

どちらを選択するかはプロジェクトの性質やプロジェクトマネージャーの好みによります。大規模で複雑なプロジェクトではアローダイアグラムが有益であり、進捗の追跡や依存関係の管理に役立ちます。一方で、リソース管理や時間軸に基づく可視化が中心となる場合はガントチャートが選ばれることがあります。

関連記事:ガントチャートとは?

8. アローダイアグラム作成ツールを選ぶなら、EdrawMax

EdrawMaxは非常に多くの図の作成に対応しています。例えば品質管理図では、意思決定図、関係図、フォルトツリー解析図などです。しかも機能に制限はついていますが無料でダウンロードできるという点も非常に魅力的です。アローダイアグラムやガントチャートの作成にも対応しているので簡単につくることができます。

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まとめ

アローダイアグラム(PERT図)は、プロジェクトスケジュールを視覚的に表現するための有力な手法で、プロジェクト管理やシステム工学でよく使用されます。PERT図はプロジェクトの進捗やリソース管理に寄与し、以下の目的で導入されます。スケジュールの計画と管理、リソースの最適な利用、リスクの識別と管理、コミュニケーションの促進、全体的な進捗の把握が主な目的です。アローダイアグラムの表記法では、ノードが活動を、アローが依存関係を表し、ダミー作業が複雑な依存関係を表現するために使用されます。アローダイアグラムの作成時には、活動の明確な定義や依存関係、所要時間のリアリティ、クリティカルパスの識別、適切な視覚表現、進捗状況の更新、明確な説明とドキュメンテーション、柔軟性の確保、チームとのコラボレーションに注意が必要です。 EdrawMaxは、アローダイアグラム作成に優れたツールであり、様々なプロジェクト管理図や図表をサポートしています。

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