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フィッシュボーン分析のやり方とは?

品質管理においてフィッシュボーン分析を活用する方法

あなたはフィッシュボーン図について知っていますか?フィッシュボーン図(またはイシカワ図や魚の骨図とも呼ばれる)は、問題の発生原因や要因を視覚的かつ体系的に整理するためのツールです。この手法は、特に品質管理やプロセス改善の分野で広く使用されています。フィッシュボーン図は、問題の根本原因を明らかにするためにチームワークやブレーンストーミングを活用します。

このツールの名前の由来は、その形状が魚の骨に似ていることからきています。図の中央に問題や課題を書き、それに対する可能性のある原因を「魚の骨」のように枝分かれさせていきます。

フィッシュボーン図の例

図1.フィッシュボーン図の例

1.フィッシュボーン図と品質管理

フィッシュボーン図を作成する主な目的は、問題や課題の発生原因を体系的かつ視覚的に整理し、理解することです。以下は、フィッシュボーン図を作成する主な目的のいくつかです:

問題の原因特定 フィッシュボーン図は、問題が発生した背後にある根本的な原因を特定するためのツールです。問題の症状だけでなく、その根本原因を明らかにすることが重要です。
チームの共有と理解 チームメンバーが一堂に会し、共同で問題の原因をブレーンストーミングし、整理するためのプロセスを提供します。これにより、チーム全体が問題に対する共通の理解を築くことができます。
方針決定と改善策の特定 フィッシュボーン図は、問題の原因を理解した上で、それに対する改善策や対策を議論しやすくします。根本原因を解決することで、将来の同様の問題を防ぐ方針を決定する際に役立ちます。
プロセスの可視化 複雑なプロセスやシステムにおいて、問題の発生原因を視覚的に整理することで、システム全体の理解を深めることができます。これは、改善や最適化のための基盤を築くのに役立ちます。
コミュニケーション促進 チームメンバーがフィッシュボーン図を共同で作成するプロセスは、コミュニケーションを促進し、異なる視点や知識を統合することに寄与します。これにより、問題に対する包括的な理解が生まれやすくなります。
予防対策の検討 フィッシュボーン図は、単なる問題解決だけでなく、将来の同様の問題を予防するための対策を検討するのにも役立ちます。問題の発生源にアプローチし、予防策を立てることができます。

総じて、フィッシュボーン図は問題解決とプロセス改善のための強力なツールであり、組織内での効果的なコラボレーションと意思決定に寄与します。それでは、フィッシュボーン図はいつ使われるのでしょうか?以下は、具体的な状況やケースでフィッシュボーン図を活用する際の例です。

品質管理 製品やサービスの品質が向上するようにするために、製造プロセスや提供プロセスの問題解決に使用されます。製品の不良率が高い、またはサービスの品質が低い場合に、その原因を明らかにするのに役立ちます。
プロセス改善 ある業務プロセスが遅い、効率が悪い、またはエラーが多発している場合に、その原因を特定して改善策を導くために使用されます。
トラブルシューティング システムや設備の故障が頻発している場合に、フィッシュボーン図を使用して、故障の根本的な原因を特定し、修復策を検討します。
顧客クレームの対応 顧客からのクレームが増加している場合、そのクレームの原因を特定し、同様の問題が再発しないようにするために使用されます。
プロジェクト管理 プロジェクトが予算を超過したり、スケジュールが遅れている場合に、その原因を明らかにしてプロジェクトの進捗を改善するために使用されます。
新しいイニシアティブの立ち上げ 新しい製品やサービス、プロセスの立ち上げ前に、潜在的な問題やリスクを事前に洗い出すために使用されます。
会議やワークショップ チームが共同で問題に取り組む際、ブレーンストーミングセッションやワークショップでの討議をサポートするために使用されます。

フィッシュボーン図は問題解決の初期段階で特に有用であり、問題の発生源や根本的な原因を明確にすることで、効果的な改善策や対策を導き出すのに役立ちます。

2.フィッシュボーン分析のやり方

それでは、具体的にどのようにフィッシュボーン分析をすればよいのかを見ていきましょう。

2.1 フィッシュボーン図の要素(構造)

フィッシュボーン図の要素

図2.フィッシュボーン図の要素

フィッシュボーン図は、問題の発生原因を整理するための図で、特定の要素や構造があります。以下は、フィッシュボーン図の主要な要素や構造です。

主題または問題(上図赤枠):

図の中央に描かれる魚の頭の位置に、解決したい問題や改善したい主題を明確に表示します。これがフィッシュボーン図の中心的な焦点となります。

魚の骨(上図青枠):

主題から水平に伸びる線が「魚の骨」で、これが図の基本的な構造です。これらの骨の枝に問題の原因や要因を書き込みます。

原因カテゴリ(上図黄枠):

魚の骨には、問題の原因を分類するための大まかなカテゴリが表示されます。一般的なフィッシュボーン図では、「人」、「プロセス」、「機器」、「材料」などのような原因カテゴリが使われます。

原因の詳細(上図緑枠):

各原因カテゴリに属する具体的な原因や要因が、骨から枝分かれして表示されます。これらの詳細な原因は、問題が発生する可能性がある箇所や影響を与える要因を指します。

これらの要素が組み合わさり、問題の根本原因を洗い出すプロセスをサポートします。フィッシュボーン図は、チームメンバーが共同で問題に取り組むための効果的な視覚的なツールであり、問題の解決に向けた方針を策定するのに役立ちます。

2.2 フィッシュボーン図の書き方


フィッシュボーン図を効果的に作成するには、以下の手順に従うことが重要です。以下は、フィッシュボーン図を書く基本的な手順です。

A 目的の明確化:

最初に、フィッシュボーン図を作成する目的を明確にしましょう。解決したい問題や改善したい主題を特定します。

B フィッシュボーン図の中央に主題を描く:

フィッシュボーン図の中央に、問題や改善したい主題を表す「魚の頭」を描きます。これがフィッシュボーン図の中心です。

C 魚の骨(主原因カテゴリ)を描く:

魚の頭から水平に伸びる骨を描きます。これが主原因カテゴリを表します。例えば、「人」、「プロセス」、「機器」、「材料」などが一般的なカテゴリです。

D 原因カテゴリごとに骨を描く:

各主原因カテゴリごとに、それに関連する原因や要因を表す骨を描きます。これが各原因のカテゴリを示します。

E 各骨に原因や要因を書き込む:

各骨に、問題の原因や要因を具体的に書き込みます。これらはブレーンストーミングセッションやデータの分析に基づいています。

F 関連性や影響を矢印で示す:

各骨や要因の間に矢印を引いて、関連性や影響関係を示します。これにより、問題がどのように伝播するかがわかりやすくなります。

G 図を整理し見やすくする:

各要素や矢印が整然と配置され、見やすい構造になるように図を整理します。適切なラベルや説明を追加して、他の人が理解しやすくなります。

H チームと共有し議論を促進:

フィッシュボーン図はチームで協力して問題に取り組むためのツールです。図をチームと共有し、それに基づいて議論やブレーンストーミングを行います。

これらの手順に従うことで、フィッシュボーン図が問題の根本原因を特定し、チームの意思決定や改善プロセスを効果的にサポートすることができます。

2.3 フィッシュボーン図の手本——6M

フィッシュボーン分析(Ishikawa図または魚の骨図とも呼ばれる)では、問題の根本原因を特定するためにさまざまなカテゴリや要因を検討します。6Mは、このアプローチにおいてよく使用される6つの主要な要因のカテゴリを指します(下図にも記載)。これらは以下の通りです。

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図3.フィッシュボーン図における6M

Machine (マシン) マシンは、製造プロセスや業務プロセスにおいて使用される機械や設備に関連する要因です。機械の不良、故障、メンテナンスの不足などが問題の原因となる可能性があります。
Method (メソッド) メソッドは、実施されているプロセスや手順に関連する要因です。効果的なプロセスが確立されていない、手順が不適切である、またはトレーニングが不足しているなどが含まれます。
Material (マテリアル) マテリアルは、製品やサービスの素材や資材に関連する要因です。材料の品質、供給の問題、適切な材料の選択などが問題の原因となる可能性があります。
Man (マン) マンは、関与する人々に関連する要因です。スキル不足、トレーニングの不足、コミュニケーションの不足、モチベーションの低さなどが含まれます。
Measurement (メジャメント) メジャメントは、測定や評価に関連する要因です。不正確な測定、適切な評価が行われていない、または適切な指標が欠如しているなどが問題の原因となる可能性があります。
Mother Nature (マザーネイチャー) マザーネイチャーは、環境要因や天候に関連する要因です。気象条件、地域の特有の要因、天候の変動などが含まれます。特に製造業や一部のサービス業において、外部の環境が問題に影響を与えることがあります。

これらの6Mは、異なる業界や状況においても応用可能で、問題解決や品質管理のプロセスにおいて根本原因の特定に役立ちます。フィッシュボーン分析を通じてこれらの要因を考慮することで、より包括的で効果的な改善策が導き出されることが期待されます。

3.フィッシュボーン図作成ツール——EdrawMax


EdrawMax は非常に多くの図の作成に対応しています。例えば品質管理図では、意思決定図、関係図、フォルトツリー解析図などです。しかも機能に制限はついていますが無料でダウンロードできるという点も非常に魅力的です。フィッシュボーン図の作成にも対応しているので簡単につくることができます。

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ためしに、作ってみましょう。メニューから新規作成->品質管理->特製要因図を選択してください。

特製要因図を選択


画面が開いたら、左側のペインから「魚」(下図の赤枠)を選んで描画領域にドラッグ&ドロップします。そうすると描画領域に魚が配置されます(下図の青枠)。

「魚」を選んで描画領域にドラッグ&ドロップ

次に、背骨を追加します。左のペインからフィッシュボーン(下図赤枠)を描画領域にドラッグ&ドロップします(下図青枠)。

フィッシュボーンを描画領域にドラッグ&ドロップ


次に、左のペインから長方形(下図赤枠)をドラッグ&ドロップ(下図青枠)、長方形の分類1(下図黄枠)をドラッグ&ドロップします。

分類をドラッグ&ドロップ


このようにして、どんどん要因を足していき、あわせて一次要因や二次要因も足していくことにより以下のようにフィッシュボーン図が完成しました。

一次要因や二次要因も足していく

まとめ


フィッシュボーン図は品質管理やプロセス改善において問題の根本原因を明らかにするツールです。問題の特定、チームの共有・理解、方針決定・改善策の特定、プロセス可視化、コミュニケーション促進、予防対策の検討に活用されます。主要なカテゴリ(6M)に基づき、魚の骨に原因や要因を分類し、図を整理して根本原因を特定します。フィッシュボーン図は品質管理、プロセス改善、トラブルシューティング、顧客クレーム、プロジェクト管理、新しいイニシアティブの立ち上げ、会議やワークショップなど多岐にわたり利用されます。EdrawMaxは使いやすいツールで、無料でダウンロードでき、品質管理図や特製要因図の作成が可能です。

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