電気回路図 知識

複線図の書き方を分かりやすく解説【電工試験向け・保存版】

電気工事士試験において、複線図の理解と作成は、技能試験の合否を分ける部分です。なぜなら、技能試験では単線図から複線図への展開が必須であるから。正確な複線図が書けないと、正確な施工ができません。

単線図と複線図の基本を理解し、適切な練習を積むことで、時間内で正確な図面を書けます。この記事では、電気工事士試験でよく出る複線図の問題とその対策方法を、分かりやすく解説します。

単線図と複線図の違いから始め、複線図の要素の詳細、そして効果的な練習方法まで、試験合格のために、ぜひ参考にしてください。

1. 単線図と複線図の概要

電気工学や建築設計において、単線図と複線図はどちらも電気経路を理解する重要なツールです。電気回路やシステムの理解、設計、トラブルシューティングに不可欠であり、それぞれ異なる目的で使用されます。

1.1 単線図とは何か?

単線図は、電気回路やシステムを簡略化して表現した図面です。この図面では、電気回路の各部分が一本の線で表され、電気機器や接続点が記号で示されます。例えば、3路スイッチの単線図は以下のとおりです。

 3路スイッチの単線図
令和5年度第二種電気工事士下期技能試験公表問題No.7より引用

線図の主な目的は、電気システムの全体的な流れや接続を簡単に理解することです。電気工事士やエンジニアは、システムの基本的な構造を迅速に把握し、計画やトラブルシューティングを行うことができます。

1.2 複線図とは何か?

複線図は、単線図よりも詳細な情報を提供する電気回路図です。この図面では、電気回路の各部分が複数の線で表され、より現実に近い回路の表現が可能になります。例えば、先程の3路スイッチ単線図を複線図にすると以下のように表されます。

複線図

令和5年度第二種電気工事士下期技能試験公表問題No.7解答より引用

複線図では、以下の情報を詳細に表します。

  • 電源
  • スイッチ
  • 照明器具
  • 接続点
  • ケーブルの経路

複線図は、具体的な配線計画や現場での施工を行う際に必要な情報を得るための図面です。

1.3 単線図と複線図の違い

単線図と複線図の主な違いは、表現される情報量です。

単線図は、電気システムの概要を簡単に理解するために使用され、電気回路の基本的な流れや接続を一本の線で表現します。一方、複線図は、より詳細な情報を提供し、実際の電気回路の配線や接続を複数の線で表現する図面です。

単線図は大まかな理解や概念的な説明に適しているのに対し、複線図は電気工事の計画や実施においてより実用的な情報を提供します。単線図は概念的な理解を助け、複線図は実際の作業や詳細な計画に役立つでしょう。

2.複線図の要素

複線図は、電気回路の詳細な構造を示すために不可欠なツールであり、様々な要素が含まれています。これらの要素を正確に理解し適切に描くことで、複線図の作成が可能になります。

2.1 主要な器具(電源、スイッチ、照明器具)

複線図における主要な器具には、以下のものがあげられます。

  • 電源
  • スイッチ
  • 照明器具

電源は回路の起点として機能し、電気エネルギーを供給します。スイッチは回路の制御を行い、電流の流れをオンまたはオフにします。照明器具は、電気エネルギーを使用して特定の機能を果たす器具です。

これらの器具は、複線図において特定の記号やラベルで表され、回路の機能的な部分を形成します。

2.2 ケーブルの表示(ケーブル、接続点)

ケーブルは、複線図において電気の接続を示す要素です。

電源から各器具への電流の流れを表し、通常、黒線や白線で描かれます。接続点は、ケーブルが分岐する場所や、異なる器具が接続される点です。

回路の物理的な構造を表現し、どのように各部分が接続しているかがわかります。

2.3 複線図の構成要素を理解すると複線図が書ける!

各器具の機能、ケーブルの経路、接続点の位置を正確に把握することで、複線図を作成できます。

構成要素を理解していないと複線図を作成できず、間違った施工になります。例えば、電気工事士の技能試験では、単線図から複線図へ展開して結線作業に取り掛かります。正確な複線図を作成できないと、技能試験で間違った完成品になるでしょう。現場において複線図が間違っていたら、設計した電気回路とは違った施工になってしまいます。

複線図の作成は、電気工事の計画段階から施工、メンテナンスに至るまで、電気システムのライフサイクル全体にわたって重要な役割を果たします。複線図の構成要素の理解は、電気工事における基本的なスキルです。

3. 複線図の書き方

複線図は電気工事や設計において重要であり、現場施工でも重要な図面です。ここでは、図面作成ソフトウェアのかEdrawmaxを使用して、複線図を効率的に作成する方法を説明します。

safe-blue-iconプライバシー保護 | マルウェアなし 

作成する図面は、令和5年度第二種電気工事士下期技能試験の公表問題No.1 を使用します。この問題の単線図は、以下のとおりです。

単線図
一般社団法人電気技術者試験センターの令和5年度第二種電気工事士試験問題より好評問題を抜粋しています。

3.1 Edrawmaxを起動する

 Edrawmaxを起動

まず、Edrawmaxソフトウェアを起動します。起動後、検索窓で「電気」と検索し、複数あるテンプレートから「基本電気回路図」を選択します。

3.2 器具を配置する

器具を配置

次に、必要な電気器具を図面上に配置します。Edrawmaxには、電源、スイッチ、照明器具など、さまざまな電気器具のシンボルが用意されています。これらのシンボルをドラッグアンドドロップで図面上に配置し、回路のレイアウトを形成します。

今回の器具には、以下のものが配置されています。

  • 引掛シーリング
  • ランプレセプタクル
  • スイッチ(位置表示内蔵)

施工省略の部分は、図面上でも省略して記載します。

3.3 接地面と非接地面を確認する

接地面と非接地面を確認

各器具を配置した後、電源の非接地面と接地面を確認します。これは、回路の電流の流れを意識することで、図面を正確に作成できます。

3.4 接地側の電線を引く

接地側の電線を引く

接地側(プラス側)の電線を引きます。通常は、黒線で記載します。これは、電源から各器具への電流の流れを示すために必要です。

3.5 非接地側の電線を引く
 非接地側の電線を引く

続いて、非接地側(マイナス側)の電線を引きます。通常は、白線で記載します。非接地面から電灯(引掛シーリングやランプレセプタクル)に向かって引くと、漏れなく引けます。

今回は、接地面の次に非接地面を書いています。この順番を逆にして、非接地面の次に接地面の線を引いても構いません。

3.6 器具をつなぐ

器具をつなぐ

すべての器具を結線します。スイッチや他の制御器具を通じて、電灯に電流が流れる経路を示します。接続点の確認や、必要に応じて追加の配線を行うことが含まれます。

最後に、電気の流れを意識して、電源からスイッチと器具の回路を確認しましょう。

4. 試験でよく出る複線図の問題と対策まとめ

電気工事士試験では、技能試験として複線図の問題が出題されます。複線図は、実際の電気工事における知識と技能の基礎部分です。試験に合格するためには、複線図の問題に対する適切な対策と練習が不可欠です。

4.1 試験で頻出する複線図の問題

電気工事士試験で頻出する複線図の問題には、主に電源、スイッチ、照明器具、コンセントなどの配置と接続方法です。これらの問題は、実際の電気回路の設計や配線方法を理解し、適切に図面に展開する能力を評価することを目的としています。

電気工事士試験を管轄する電気技術者試験センターのホームページには、試験候補問題が公表されています。どれも重要な候補問題で、特に3路スイッチ複線図は頻出問題です。

4.2 複線図問題への対策方法

複線図問題への対策としては、まず表示される構成要素をしっかりと理解することが重要です。次に、様々なタイプの電気回路とその機能について学び、実際の配線や接続方法を習得します。

技能試験の注意すべきポイントは、欠陥のない施工をすることです。欠陥のない施工をするためには、正確な複線図が欠かせません。器具の配置や、結線など間違いがないようにしっかりと複線図を作成する必要があります。

過去の試験問題を解くことで、問題の傾向と対策を把握し、試験に対する準備を整えることが効果的です。実際に複線図を手書きで作成する練習を行い、試験会場でも正確に図面を作成するスキルを高めることが重要です。

4.3 試験成功のための複線図の練習

試験に合格するためには、単線図から複線図へ展開する練習を積極的に行いましょう。試験候補問題や過去問を用いて、実際に手書きで練習します。

単線図を理解し、複線図の作成に関するスピードと正確性を向上させることが重要です。異なる種類の電気回路や複雑なシナリオに対応できるよう、何度も練習を行うことが望ましいです。練習を重ねることで、試験当日には自信を持って問題に取り組むことができます。

safe-blue-iconプライバシー保護 | マルウェアなし 
関連記事