ソフトウェア開発-UML図 How-Tos

効果的なumlクラス図の書き方

実例に合わせてクラス図の書き方とコツをご紹介

あなたはクラス図について知っていますか?ソフトウェア開発において、設計とコミュニケーションは非常に重要な要素です。その中でもクラス図は、オブジェクト指向プログラミングの設計において広く用いられるツールの一つです。この記事では、クラス図の基本的な概念と書き方について解説します。

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クラス図はソフトウェア開発において多くの利点を提供します。主要な利点を3つ挙げてみます:

設計の可視化:
システムやアプリケーションの概念や構造を視覚的に理解するのに役立ちます。

コードの理解:
プログラマがコードベースを理解するのに役立ち、効率的な開発が可能です。

コミュニケーション:
チーム内でのコミュニケーションをサポートし、設計の誤解や混乱を減少させます。

1.クラス図の基本

クラス図を作成するには、まず、クラス図の理解が必要です。クラス図は、Unified Modeling Language(UML)と呼ばれる規格で定義された図の一種です。UMLは、ソフトウェアの設計やモデリングのための標準的な言語で、クラス図はその中でも特にオブジェクト指向プログラミングの設計に関する情報を視覚的に表現します。

ソフトウェアシステムにおけるクラスは、中にクラス名の記述された四角で表現する。クラスはドメイン等、ソフトウェア要素ではない要素であっても構いません。

図1にクラスの構成について示します。

クラス図の構造

図1. クラス図の構造

一番上にはクラスの名前を示すクラス名を記載します。クラス名の下には属性(プロパティ)を記述することができます。属性の記載はオプションであり省略することが可能です。どの属性も最低でも名前を記述せねばならず、オプションとしてその型、初期値、その他の特性を記述することができます。更にその下に、クラスの操作(メソッド)を記述することができます。操作の記載はオプションであり省略することが可能です。どの操作も最低でも名前を記述せねばならず、オプションとしてその引数や戻り値を記述することができます。

属性や操作に対し以下の可視性を付けることができます。

" + "はpublic  すべてのクラスからアクセス可能
" # "はprotected   自クラスのみアクセス可能
" - "はprivate  自クラスおよび継承されているクラスからアクセス可能
" ~ "はpackage(パッケージ内で可視) 同一パッケージ内のクラスからアクセス可能

図2にクラスの例として自動車クラスを示します。
クラス名は自動車です。属性としてはprotectedな属性を3つ持っています。操作としてはpublicな操作を5つ持っています。

クラス図の例(自動車)

図2. クラス図の例(自動車)

2.クラス間の関係性

オブジェクト指向プログラミングでは、異なるクラス同士が関連性を持ち、協力してシステムを構築します。クラス間の関係性を理解することは、効果的なソフトウェア設計とコードの管理に不可欠です。ここでは、異なるクラス間の主要な関係について詳しく解説します。

関連(Association)

関連は、クラス間の基本的な関係を示すものです。関連は通常、直線や矢印で描かれ、クラス同士がどのような方法で関連しているかを表現します。関連には以下のような種類があります:

一対一(One-to-One): 一つのクラスのインスタンスが、他のクラスのインスタンスと対応します。
一対多(One-to-Many): 一つのクラスのインスタンスが、他のクラスの複数のインスタンスと関連します。
多対多(Many-to-Many): 複数のクラスのインスタンスが、お互いに関連しています。

継承(Inheritance)

継承は、クラスの階層構造を作成するための関係です。親クラス(基底クラス)と子クラス(派生クラス)の間で、属性や操作を共有することができます。子クラスは親クラスの特性を継承し、拡張することができます。

図3に継承の例を示します。ここでは人間クラスが基底クラスで、それを継承したクラスとして男クラスと女クラスがある例となっています。

継承の例

図3.継承の例

実現(Realization)

実現は、インターフェースとその実装クラスとの関係を示します。インターフェースはメソッドのシグネチャを提供し、実装クラスはそれを実際に実装します。実現関係は、クラスがどのようにインターフェースを満たしているかを示す重要な要素です。
図4に実現の例を示します。生物という共通的なインタフェースを馬や木といったクラスが実装します。(増殖の仕方は木と馬では異なります)

実現の例

図4.実現の例

集約(Aggregation)と合成(Composition)

集約と合成は、クラス間の部分と全体の関係を示すために使用されます。集約は部分と全体が独立して存在できる関係を表し、合成は部分が全体に依存している関係を示します。

図5に集約の例を示します。ここではある1人の教授が受け持つ授業が1つからn個存在する関係性を表現しています。

集約の例

図5. 集約の例

図6に合成の例を示します。ここではある1人の人間が持つ心臓と肝臓はそれぞれ1つずつであることを示しています。人間がなくなってしまえば、心臓と肝臓は独立して存在することができない点が集約の例と異なる点です。

合成の例

図6. 合成の例

関連記事: UMLクラス図における関係性と構造

3.クラス図の書き方とコツ

ここではクラス図の書き方のポイントと実際にUML図作成ツールを利用したクラス図の書き方について順にご紹介します。

3.1 クラス図作成時のポイント

クラス図を効果的に作成するためのコツは次の通りです:

1.シンプルさを重視: クラス図はわかりやすくシンプルに保つことが大切です。必要な情報だけを含み、過剰な詳細を避けましょう。
2.適切な抽象度: クラス図は高い抽象度で概念を表現するため、過度な詳細や実装の細部は避け、重要な情報に焦点を当てることがポイントです。
3.適切な命名: クラス名、属性、操作などの要素にわかりやすく適切な名前を付けることで、他の開発者が図を理解しやすくなります。
4.一貫性の維持: 同じシステム内で複数のクラス図を作成する場合、同じ要素に対して一貫した命名やアプローチを使用して、混乱を避けましょう。
5.適切な記号の使用: クラス、属性、操作、関連などの要素に適切な記号を使用して、視覚的に正確に情報を表現します。
6.関連性の明示: 関連のタイプ(一対一、一対多、多対多)や方向を適切に表示して、クラス間の関係を明確に示しましょう。
7.詳細の階層化: 複雑なクラス図の場合、詳細を階層的に表示することで、図がわかりやすくなります。
8.色の活用: クラスのグループ化や関連性を示すために色を活用することで、図を視覚的に整理しやすくなります。
9.コメントと説明: 図の中に必要ならば、コメントや説明を追加して、特定の要素や関連性の目的や背景を説明することができます。
10.ツールの利用: 専門のUMLツールやソフトウェアを使用することで、クラス図を効率的に作成し、必要な情報を簡単に追加・編集できます。

3.2 UMLクラス図の作成手順

例えば1~9のコツを守ったUML図を作成するのに1か月かかるとしたらどうでしょうか?それは正しい図であるかもしれませんが、ソフトウェアの開発は非常に遅くなってしまうでしょう。前述のようにツールの利用はUMLクラス図の作成を劇的に効率化させてくれます。

世の中にはいくつもの作図ツールが存在しますが、Wondershare EdrawMaxはUMLクラス図を含め非常に多くの図の作成に対応しています。しかも機能に制限はついていますが無料でダウンロードできるという点も非常に魅力的です。

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以下の図に示すように、ソフトウェアとデータベース関連だけでもこれだけ多くの作図に対応しています。あなたがUMLクラス図を作成したい場合には、新規作成->ソフトウェアとデータベース->UMLモデル図を選択してください。

UMLクラス図を新規作成

画面が開いたら、左側の一覧からUMLクラス図を選択すると利用できるオブジェクト一覧が表示されます(下図赤枠)。クラスオブジェクトを画面中央までドラッグアンドドロップすると描画領域にクラスオブジェクトが現れます(下図青枠)。

UMLクラス図を選択

もちろん、複数のクラスを記述して、クラス間の関連性も簡単に記載できます。メニューから線の種類や太さなども簡単に変更することが可能です(下図赤枠)。クラスに色付けすることもワンクリックです。

クラス間の関連性も簡単に記載

まとめ

クラス図はソフトウェア開発において重要で、設計とコミュニケーションの要素を担います。クラス図はオブジェクト指向プログラミングの設計に広く用いられ、設計の可視化、コードの理解、コミュニケーションの強化に寄与します。クラス図の基本利点は、設計を視覚的に理解し、コードベースの効率的な開発、チーム内のコミュニケーションを支援します。

クラス図の作成には、Unified Modeling Language(UML)規格を使います。ソフトウェア内のクラスは四角で表現し、クラス名、属性、操作を含む要素を配置します。クラス図は、クラス間の関係性も示し、アクセス制御を可視性記号(+、#、-、~)で表現します。

クラス図の関連性には、一対一、一対多、多対多の関係があり、継承、実現、集約、合成の関係もあります。クラス図を効果的に作成するためのコツとして、シンプルさ、適切な抽象度、適切な命名、一貫性の保持、適切な記号の使用、関連性の明示、詳細の階層化、色の活用、コメントと説明、専門ツールの利用があります。

ツールを使用することでUMLクラス図の作成を効率化することができます。Wondershare EdrawMaxは多機能な作図ツールでUMLクラス図を含む多くの図を作成可能です。ツールを使用することで作図にかかる時間を大幅に短縮できるので是非検討してみてください。

これらのコツを用いて、クラス図を作成することで、わかりやすく効果的な設計とコミュニケーションを実現できます。

付録

本記事で解説したクラス図で利用する矢印の一覧表を以下に示します。

クラス図で利用する矢印の一覧表

関連記事: UMLクラス図記号とその使い方

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