PlantUMLは、簡潔にコードを記述するだけでクラス図などのUML図を自動生成する便利なツールです。この記事では、PlantUMLでクラス図を書く方法を詳しく説明します。
1.クラス図を書くポイント
クラス図を書く際には、以下のポイントに注意することが重要です。まずは具体的なツールを考慮せずに、一般的なステップを紹介します。
1.1 システムの目的と範囲を明確にする
まずは、システムが何を達成するのか、そしてどの範囲までをクラス図に含めるかを明確に定義します。
1.2 必要なクラスを抽出する
システムに関連する主要なクラスをリストアップします。例えば、ユーザー、記事、コメントなど。
1.3 クラスの属性と操作を定義する
各クラスの具体的な属性(フィールド)や操作(メソッド)を詳細に定義します。アクセス修飾子も設定しましょう。
1.4 クラス間の関係を定義する
継承、実装、依存などの関係性を図示します。クラス間の関連をどう表現するかによって、システムの理解が深まります。
1.5 UML記法に従って図示する
UMLの標準的な記法を使用して、クラス図を作成します。これにより、他のエンジニアや関係者と共通の理解が得られやすくなります。 このようにして、クラス図の基本構成をまとめ、それをPlantUMLで クラス 図を書く方法としてうまく活用しましょう。PlantUMLの具体的な使用方法については、次のセクションで詳しく説明します。
2.PlantUMLの基本的な使い方
2.1 基本的な構文と要素
PlantUMLは、簡単なテキスト形式のコードを記述することでUML図を自動生成できるツールです。まずは基本的な構文とその要素をご説明します。PlantUMLのファイルは通常、`.pu`や`.puml`といった拡張子を持つテキストファイルで、シンプルな構文でUML図を書きます。以下に基本的な構文を示します。
2.1.1 クラスの定義
class クラス名。クラスのフィールドやメソッドを定義する場合、クラスの中に大括弧{}を使って記述します。
フィールドやメソッドのアクセシビリティ修飾子は次の通りです:
+:public -:private #:protected ~:package 抽象クラスの定義:abstract class クラス名 インターフェースの定義:interface インターフェース名 列挙型の定義:enum 列挙型名 |
例として、以下のコードは基本的なクラス定義の例を示しています。
@startuml class User { -id: int -name: String +login() +logout() } @enduml |
この定義で、Userクラスには2つのprivateフィールド(idとname)と2つのpublicメソッド(login()とlogout())が含まれます。
2.2 クラス図の記述方法(クラス間の関係)
クラス間の関係を記述する際には、PlantUMLの記法を使って継承や依存、集約、構成などのさまざまな関係性を定義できます。
具体的な例として、「インターネット記事投稿サービス」のクラス図をPlantUMLで描いてみましょう。これには次のクラスが含まれます:ユーザー、記事、コメント、マガジン、タグ、ジャンル。以下はそれぞれの関係性を示したものです。
最初にクラスの定義を行います。
@startuml class User { -userId: int -userName: String +postArticle() } class Article { -articleId: int -content: String +addComment() } class Comment { -commentId: int -text: String } class Magazine { -magazineId: int -title: String } class Tag { -tagId: int -name: String } class Genre { -genreId: int -name: String } @enduml |
次に、これらのクラス間の関係を定義します。
@startuml User "1" -- "0..*" Article : posts Article "1" -- "0..*" Comment : has User "0..*" -- "0..1" Comment : writes Article "0..*" -- "0..1" Magazine : publishedIn Article "0..*" -- "0..*" Tag : taggedWith Article "0..*" -- "0..1" Genre : categorizedAs @enduml |
このコードは次のような関係を表しています:
Userは複数のArticleを投稿します (1対多の関係)。
Articleには複数のCommentが付きます (1対多の関係)。
UserもCommentを書けます (多対1の関係)。
ArticleはMagazineに発表されることがあります (多対1の関係)。
Articleには複数のTagが付く可能性があります (多対多の関係)。
Articleは1つのGenreに分類されます (多対1の関係)。
これらの関係をPlantUMLの記述で視覚的に確かめることで、システムの構造を理解しやすくなります。
3.PlantUMLでクラス図を書く方法
ここでは、「インターネット記事投稿サービス」をテーマとしたクラス図を例に、PlantUMLでクラス図を書く方法を紹介します。この例では、以下のクラスとその関係性を含みます:
まず、PlantUMLの基本的な構文を理解しておくことが重要です。`@startuml`と`@enduml`のタグで囲んだ範囲内にクラス図を記述します。次に、PlantUMLを使ってクラス図を作成する具体的なステップを示します。
3.1 PlantUML環境の確認
- PlantUML Web Server(https://www.plantuml.com/)にアクセスします。
以下のような画面が初期表示されます。
3.2 コードの記述
- クラスやフィールド、メソッドを定義する基本的な構文を使い、クラスを定義します。
- 例:`User`クラスの中身を記述。
3.3 関係性の定義
- クラス間の関係を矢印やラベルで視覚的に示します。
- 例:`User`と`Article`の関係を定義。
3.4プレビューと確認
- 「Submit」ボタンを押すことで画面下にUML図が表示されます。
以上のステップに従うことで、PlantUMLを使って効率的にクラス図を作成することができます。この方法は、シンプルなコードで多様なUML図を自動生成できるため、非常に便利です。
4.コードは要らない!ドラッグでクラス図を書くツール
PlantUMLでクラス図を書く方法は非常に便利ですが、コードを書くのが難しいと感じる方もいるでしょう。そんな方のために、エドラマックス(EdrawMax)というツールがあります。このツールを使えば、直感的なドラッグ&ドロップ操作でクラス図を作成できます。
まず、EdrawMaxをインストールして起動します。次に、「新規作成」から「UMLモデリング」を選択します。
ツールボックスから「クラス」シンボル(下図で赤枠)をドラッグしてキャンバス上に配置し(下図で青枠)、クラス名や属性、メソッドをダブルクリックして入力します。例えば「インターネット記事投稿サービス」における「ユーザー」クラスの場合、以下のように定義します:
クラス名:User 属性:userId、userName メソッド:postArticle() |
次に、他のクラスも同様に作成します。「記事」、「コメント」、「マガジン」、そして「タグ」や「ジャンル」などのクラスを追加します。クラス間の関係は、ツールボックスから「結合」や「一般化」といったシンボルを使用して簡単にドラッグ&ドロップで作成できます。
例えば、ユーザーと記事の関係を示す場合は、「ユーザー」クラスから「記事」クラスに向かって「関連」シンボルをドラッグします。これで、ユーザーが複数の記事を投稿できる関係が表現されます。
クラス図作成の際にEdrawMaxを利用するメリット
EdrawMaxの最大のメリットは、コードを一切書かずに直感的な操作でクラス図を作成できる点です。これにより、専門知識がなくても誰でも簡単にUML図を作成できます。さらに、エドラマックスは多数のUML図テンプレートを提供しており、これを活用することで効率的にクラス図を作成することも可能です。
また、EdrawMaxはカラーリングやレイアウトの変更が容易で、図の視認性を高めるために便利なツールです。色を使ってクラスや関係を強調したり、レイアウトを調整して見やすい図を作成できます。例えば、重要なクラスを赤色にすることで、図全体においてその重要性を一目で理解できるようになります。
さらに、EdrawMaxはクラウドストレージと連携しているため、作成した図を簡単に共有することができます。これにより、チームメンバーとのコラボレーションがスムーズに行え、プロジェクトの進行を助けます。
コードを書くのが苦手な方でも、EdrawMaxを使用すれば、誰でも簡単に高度なクラス図を作成し、保守性や視認性が高いUML図を自動生成できます。
まとめ
本ガイドを通じて、PlantUMLを使用してクラス図を作成する方法について学びました。PlantUMLは簡単なコード記述によって複雑なUML図を自動生成できる強力なツールです。クラス図はシステムの構造を明確にし、開発プロセスを効率化するために非常に有用です。また、PlantUMLだけでなく、EdrawMaxのようなドラッグ&ドロップでクラス図を作成できるツールも検討する価値があります。これにより多様なユーザーニーズに対応し、コードレス且つ視覚的にUML図を作成することが可能になります。最適な方法を選び、効果的にクラス図を活用することが、システム開発の成功への鍵となるでしょう。