電気回路図 知識

共振回路とは?基礎知識や書き方を紹介

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編集者: Edraw

   電子回路の基本要素として挙げられる共振回路は、周波数選択や信号増幅など、エレクトロニクスにおいて欠かせない存在です。特定の周波数に対して回路が強く反応する現象は、ラジオやテレビなどのチューナー、フィルタ回路などで広く応用されています。しかし、その仕組みや書き方については、初めて学ぶ方にとってやや複雑に感じられるかもしれません。本記事では共振回路の基礎知識から、構成要素や読み方、さらに図面の描き方までをわかりやすく紹介します。共振回路を正しく理解することで、目的とする周波数だけを取り出すテクニックや、不要なノイズを除去する工夫なども身に付けることができます

1.共振回路とは

共振回路1

1.1 定義

   共振回路とは、コイルとコンデンサを組み合わせることで、ある特定の周波数において大きく振幅が増幅するよう設計された回路です。コイルが持つエネルギー蓄積特性とコンデンサが持つエネルギー蓄積特性が組み合わさることで、電流や電圧が特定の周波数(共振周波数)付近で大きくなる現象を生み出します。共振回路の場合は電磁エネルギーの交換によって振動が起こる点が特徴です。インダクタとキャパシタが交互にエネルギーをやり取りすることで、一定の周波数で効率よく振動が継続しやすくなります。

1.2 使われる目的

    共振回路の主な役割は、信号の周波数を選択するフィルタ機能と、増幅回路の一部としての機能です。例えばラジオのチューナーでは、空中に飛び交う多種多様な周波数の中から、聴きたい放送局の周波数だけを取り出す役割を担っています。また、高周波増幅器では、狙った周波数帯だけを強力に増幅し、不必要な周波数成分(ノイズなど)を抑制することが可能です。さらに、発振器に組み込む場合には、共振回路により安定した振動を生み出すことで、正確な周波数の信号を生成できます。こうした特性から、無線通信、レーダー技術、音響機器、さらにはセンサ技術など、幅広い分野で共振回路が不可欠な要素として利用されています。

2.共振回路の読み方

    共振回路を正しく理解するためには、まずコイルとコンデンサがどのように接続されているか、そしてそれがどのような周波数特性をもたらすのかを把握することが重要です。実際の回路図を見る際は、LとCの接続形態を確認し、直列か並列か、どのように信号が流れているかを意識すると、回路の狙いが見えてきます。

    代表的な共振回路として、直列共振回路と並列共振回路があります。以下はそれぞれの特徴です。

記号 名称 特徴
直列共振回路 直列共振回路 インダクタとコンデンサを直列に接続。共振周波数でインピーダンスが最小となり、大電流が流れます。周波数によってインダクタとコンデンサのリアクタンスが変化し、共振点で電流が急増します。
並列共振回路 並列共振回路 インダクタとコンデンサを並列に接続。共振周波数でインピーダンスが最大となり、電流が抑制されます。インダクタとコンデンサが互いに打ち消し合うことで高インピーダンスとなります。

    回路図では、LとCのシンボルがどのような形で接続されているかをまず確認します。例えば、同じ線上に直列に並べば直列共振、分岐して並列に配置されていれば並列共振だと判断できます。

    また、回路図を見てLとCの配置を確認し、その周波数特性をイメージすることで、回路が何を目的としているのか、どのような周波数帯を取り出したい(または除去したい)のかを正しく読み取れるようになります。

3.共振回路が使われるケース

    共振回路は、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。

  1. 通信分野では、携帯電話や無線機のRF回路に共振回路が組み込まれ、特定の周波数帯を効率的に扱うために利用されています。
  2. 音響の世界ではスピーカーやマイクなどの帯域特性を補正するために共振回路が用いられ、不要なハウリングを抑えたり、特定周波数を強調したりすることが可能です。
  3. センサー分野では微細な振動や変化を検出するための共振特性を活用しています。
  4. ワイヤレス給電のように、エネルギーを非接触で伝送する技術にも共振回路が応用されます。信号処理からエネルギー伝送まで幅広く用いられています。

4.共振直列回路の書き方とルール

    共振直列回路を書く際は、いくつかの留意点・ルールが存在します。本項ではEdrawMaxを使用して共振直列回路を作図する書き方を紹介します。

4.1回路図テンプレートの選択

テンプレ画面

    EdrawMaxを起動したら、新規作成メニューから「電気工学」あるいは「回路図」テンプレートを選びます。これにより、各種回路記号や部品を簡単に呼び出せる環境が整います。

4.2インダクタとコンデンサの配置

描き方1

    ツールボックスやライブラリからコイル(L)とコンデンサ(C)のシンボルをドラッグ&ドロップします。直列回路の場合は、LとCを一直線に並べて配置するのがポイントです。

    その後、シンボル同士を導線で結び、入力端子と出力端子をわかりやすく配置します。特に直列共振回路では、インピーダンスが最小となる共振点を意識するため、どこに電源が入り、どこから信号が出るのかを明確にすると、回路意図を伝えやすくなります。

4.3パラメータの設定と表記

描き方2

    インダクタに対応するインダクタンス(L値)、コンデンサに対応するキャパシタンス(C値)を設定し、回路図上に明記します。共振周波数f=1/(2π√(LC))などの情報を補足として書き込んでおくと、後から見返す際に理解しやすくなります。

    その後、回路全体のアースや電源ラインの位置が正しいことを確認し、安全上必要な定格電圧や電流の注記があるかなどを検討します。

5.おすすめの回路図作成ツールEdrawMax

共振回路図作成ツール

    EdrawMaxは、電子回路だけでなく、フローチャートや組織図など多岐にわたる図形を作成できるオールインワンソフトウェアです。特に回路図作成においては、以下のようなメリットがあります。

5.1豊富な回路シンボルライブラリ・高い操作性

シンボル

    抵抗やコンデンサはもちろん、トランジスタやIC、センサ関連のシンボルまで幅広く取り揃えています。ダブルクリックで配置するだけなので、初心者でも簡単に回路図を作成できます。

    また、図形の配置や配線の編集がスムーズに行えるため、複雑な回路図でも効率よく描けます。さらに、シンボルの大きさや配線の形状を調整しやすいので、見やすいレイアウトを追求できます。

5.2共有機能

共有

    クラウドを活用した共有機能もあり、チームでの共同作業やプロジェクト管理にも適しています。さらに、様々な形式で出力することも可能であり、共有が容易な点が特徴です。

5.3無料体験版

     有料版に切り替える前に一通りの機能を試せるため、自分の設計スタイルや要件に合っているかを確認してから導入を検討できます。このように、EdrawMaxは一つのツールで多様な図を描ける利便性と、初心者にも扱いやすいUIを兼ね備えた回路図作成ソフトと言えます。

6.共振回路に関するFAQs

6.1 共振回路の設計でLとCの値はどのように選べばよいですか?

    まずは目的の共振周波数を考慮し、理想的には f=1/(2π√(LC))に基づいてLとCを決定します。実際の部品選定では、コイルの内部抵抗やコンデンサの寄生容量など、理想値から外れる特性も考慮が必要です。損失の少ない部品や回路レイアウトに配慮し、低ノイズ化を図ることがポイントです。

6.2 共振周波数はどのように計算しますか?

     最も基本的な式はf=1/(2π√(LC))です。ここでLはインダクタンス(単位ヘンリー)、Cはキャパシタンス(単位ファラド)を表します。ただし、実際の回路では配線や実装基板の寄生成分が影響して、理想値と微妙にズレる場合が少なくありません。試作段階で測定や微調整を行い、狙った共振周波数を実現するのが一般的です。

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