業務の進捗を可視化する手段として広く使われているガントチャートは、パワーポイント(以下パワポ)でも簡単に作成できます。もしパワポを持っていない場合でも、Microsoftが提供するWeb版のパワーポイントを使えば、インストール不要でガントチャートを作成し、エクスポートすることで資料に活用できます。
本記事では、「図形でゼロから作成」「テンプレートから作成」「アドイン機能で作成」の3つの方法をステップごとに解説し、初心者でもすぐに実践できるように丁寧に紹介していきます。
1.ガントチャートを作成するポイント
ガントチャートをパワポで作成する際には、単に作業工程を並べるだけでなく、視認性と分かりやすさを意識することが重要です。まず、ガントチャートとは、タスクのスケジュールや進行状況を視覚的に表現する図で、横軸に時間、縦軸にタスクを並べてバーで期間を示します。これにより、プロジェクトの全体像や各タスクの開始・終了時期、進捗の遅れなどを一目で把握できます。
パワポで作成するガントチャートのポイントは主に3つあります。
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構成のシンプルさ
色や要素を多用しすぎると見づらくなるため、タスクの優先順位や重要度に応じて色分けするなど、情報を整理しましょう。
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レイアウトの統一性
フォントサイズや行間、バーの長さや位置を整えることで、全体が見やすくなります。
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編集しやすさ
後からスケジュールが変更されることを想定し、図形やテキストの位置を揃えておくと修正が簡単になります。
また、発表用資料として利用する場合は、アニメーションを加えてバーが時間の流れに沿って表示されるようにすると、よりインパクトのあるプレゼンになります。視覚的な工夫を加えることで、関係者にとって理解しやすく、プロジェクトの進行状況を共有するための有効なツールとして活用できます。
方法1:図形でゼロから作成する
パワポでガントチャートを一から作成する方法の一つが、「図形」を活用する手法です。この方法は自由度が高く、細かい調整が可能なため、自分のプロジェクトにぴったり合ったチャートを作成できます。以下の手順で作成してみましょう。
1.スライドのデザインを整える
最初に、スライドの背景をシンプルな色に設定し、余計なデザイン要素を取り除いておくと、図形が際立って見やすくなります。
2.縦軸(タスク)の作成
テキストボックスを使用して、スライドの左側にタスク名を縦に並べます。各行は1つの作業項目を表します。(表の挿入でも可)
3.横軸(時間)の作成
横方向には日付や週などの時間単位を記載します。これもテキストボックスで上部に並べておくと、後のバー配置がしやすくなります。
4.バーの描画
「図形」→「長方形」を選び、各タスクの開始日と期間に合わせてバーを引きます。開始位置とバーの長さでスケジュールを表現します。色を使い分けると、進捗状況や担当者別などの情報を視覚的に表せます。
5.ラベルや補足の追加
バーの中や上に「開始」「完了」「遅延中」などの補足を入れることで、内容がより明確になります。
6.整列とグループ化
図形の位置やサイズを「整列」機能で揃え、必要に応じて複数の図形をグループ化しておくと、修正や移動がしやすくなります。
図形を使った手法は少し手間がかかりますが、自由度の高いカスタマイズが可能です。デザイン性も自分で調整できるため、プレゼン資料や社内報告書などの用途に適しています。
方法2:パワポのテンプレートから作成する
パワポにはあらかじめ用意されたテンプレートがあり、それを活用することで簡単にガントチャートを作成できます。特に時間がない場合や、デザインに自信がない方にとって便利な方法です。以下の手順でテンプレートを使ってみましょう。
1.テンプレートを検索する
パワポを開いたら、「新規」→「その他のテーマ」を選択し、検索ボックスに「ガントチャート」と入力します。表示されたテンプレートの中から目的に合ったものを選びましょう。
2.テンプレートを開く
選んだテンプレートを開くと、すでにデザインやレイアウトが整ったスライドが表示されます。ここにはタスク名や日付、進捗バーなどが含まれていることが多いです。
3.内容を編集する
タスク名、期間、進捗などを自分のプロジェクトに合わせて編集します。すでに設定された図形やテキストボックスがあるため、配置やサイズを変える必要はほとんどありません。
4.デザインを調整する
必要に応じて色を変更したり、会社のブランディングに合わせたフォントやロゴを追加したりすることで、資料としての完成度を高めましょう。
5.スライドとして活用
完成したガントチャートは、プレゼン資料の一部として活用したり、「ファイル」タブから印刷やPDFとして出力して配布資料にしたりすることができます。
テンプレートを使えば、短時間で見栄えの良いガントチャートが作成できます。特にプレゼン初心者や、ビジュアルに時間をかけられないビジネスパーソンにとっては、手軽で効果的な方法です。
方法3:アドイン機能で作成する
パワポでは「アドイン」機能を活用することで、より高度なガントチャートを簡単に作成できます。ここでは、世界中で3,000万人以上が利用している作図ツール「EdrawMax」を使ったアドインの活用法を紹介します。
EdrawMaxは、美しく整ったガントチャートのテンプレートが豊富に揃っており、バーをドラッグするだけでスケジュールの編集も可能です。さらに、PowerPointにアドインとして連携させることで、作成したガントチャートをそのままスライドに表示・編集できるため、プレゼン資料の作成がスムーズになります。
※この機能はWindowsパソコンおよびPowerPoint 2016以降に対応しています。
以下の手順で進めてみましょう。
1.EdrawMaxをインストールする
まずはEdrawMaxをインストールします。お使いのパソコンに未インストールの場合は、公式サイトから最新版をダウンロードしてください。
2.PowerPointでアドインを有効にする
PowerPointを起動し、リボンに【EdrawMax】というタブが表示されているか確認します。もし見つからない場合は、以下の手順でアドインを有効化しましょう。
「ファイル」→「オプション」→「アドイン」→「設定」→「EdrawMax Office Add-in」にチェックを入れます。
3.ガントチャートのテンプレートを挿入する
【EdrawMax】タブをクリックし、「図形の挿入」→「その他のダイアグラム」→「プロジェクト管理」→「ガントチャート」を選び、目的に合ったテンプレートを挿入します。
4.ガントチャートを編集する
挿入されたテンプレート内で、タスク名や期間を入力して編集を行います。
バーをドラッグすることで視覚的にスケジュールを調整でき、進捗の表現も簡単です。
5.編集を終了するとスライドに反映される
編集画面を閉じると、作成したガントチャートは自動的にPowerPointのスライドに同期されて表示されます。プレゼン用資料としてすぐに活用可能です。
アドイン機能を使えば、作業の効率化と高品質な仕上がりを両立できます。特に、プレゼン資料を頻繁に作成するビジネスパーソンにとって、EdrawMaxは強力なサポートツールとなるでしょう。
まとめ
パワポでのガントチャート作成には、「図形でゼロから作成」「テンプレートを活用」「アドイン機能を使う」という3つの方法があります。目的やスキルに応じて最適な手法を選ぶことで、見やすく実用的なスケジュール表を効率よく作成できます。特にWeb版のパワポを利用すれば、ソフトを持っていない場合でもオンラインで簡単に対応可能です。プレゼン資料や業務報告書など、幅広いシーンで活用してみてください。